「もう少し待てば、帰ってくると思って」——認知症の家族が見当たらない日。国の統計が示す“最初の3日”と、亡くなって見つかった方の8割が居た距離
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「もう少し待てば、帰ってくると思って」——認知症の家族が見当たらない日。国の統計が示す“最初の3日”と、亡くなって見つかった方の8割が居た距離

認知症で行方不明になる方は、令和7年の1年間で1万7,345人。警察庁の統計を読むと、届出を受理した当日に見つかる人が68.0%、3日以内で94.8%。ところが4日目を過ぎると、見つかった人のうち生きて所在が確認された割合は53.7%まで落ち、15日目以降は死亡確認のほうが多くなります。そして亡くなって見つかった方の77.8%は、いなくなった場所から5km以内でした。探す場所と、見つけたあとに家族が見るものを、現役救急救命士が一次資料で解説します。

夕方の住宅街に出動して、道ばたでうずくまっている高齢の方に接触することがあります。

汗はほとんどかいていない。財布も携帯も持っていない。名前を聞いても、はっきりした答えが返ってこない。そして少し経ってから、ご家族が息を切らして走ってくる。

「お昼過ぎからいなくて……でも、いつも夕方には帰ってくるので」

責める話ではありません。「そのうち帰ってくる」は、これまで実際にそうだったから出てくる言葉です。むしろ、これまで何度も無事に帰ってきたからこそ、そう思えるわけです。

ただ、この「もう少し待ってみよう」という数時間について、国の統計は、ちょっと怖いことを示しています。

夕暮れの住宅街の道と家並み いなくなった場所から、そう遠くない。統計が示しているのは、そういう話です(写真はイメージです)

この記事の主な出典は、警察庁生活安全局人身安全・少年課令和7年における行方不明者届受理等の状況」(令和8年6月)と、同じシリーズの「令和6年における行方不明者届受理等の状況」(令和7年6月)です。どちらも警察庁のウェブサイトで誰でも読めるPDFです。あわせて、環境省熱中症環境保健マニュアル2022」と、総務省消防庁のリーフレット「救急車を上手に使いましょう」(令和7年12月発行)を使います。

先に、3つだけ

長い記事になるので、結論から置きます。

  1. 統計の時計は、「家族が届け出た瞬間」から動きはじめます。令和7年に所在が確認された認知症の行方不明者のうち、受理当日に見つかった人が68.0%、3日以内で94.8%。ところが4日目以降に見つかった人では、生きて所在が確認された割合は**53.7%**まで落ち、15日目以降は死亡確認のほうが多くなります。「もう少し待とう」という時間は、この統計にはまだ入っていません。
  2. 探す場所は、思っているより近いです。令和6年に届出を受理した認知症の行方不明者のうち亡くなって見つかった491人は、その77.8%(382人)がいなくなった場所から5km以内。うち1km以内だけで235人です。そして見つかった場所は、河川・河川敷、用水路・側溝、山林で全体の54.0%を占めます。
  3. **見つけるのは、警察よりも「地域の人」であることが多いです。**令和7年に所在確認等がなされた認知症の行方不明者17,268人のうち、47.0%(8,114人)が「民間通報」を端緒に見つかっています。これが、事前に地域へ伝えておくことの意味です。

そのうえで、この記事の後半では**「見つけたあと」**の話をします。救急の現場から見ると、見つかった瞬間は、終わりではなく始まりだからです。

1. 国の統計は「徘徊」と呼んでいない

まず、言葉の話を少しだけ。

警察庁のこの資料には、「徘徊」という語が出てきません。使われているのは「認知症行方不明者」で、資料の凡例には、こう定義されています。

認知症行方不明者… 行方不明となった原因・動機が、認知症による行方不明者をいう。

(※「認知症」は「認知症又はその疑い」を指す、とも同じ凡例に書かれています)

国が「徘徊」という言葉を禁止した、という事実は確認できませんでした。ここで言えるのは、国の統計の名前が「行方不明者」であるということだけです。ただ、ご家族と話していて感じるのは、この呼び方の違いが、意外と大きいということです。「徘徊」と呼ぶと、あてもなく歩き回っているように聞こえる。「行方不明」と呼ぶと、探しに行かなければいけないことが言葉の中に入ってきます。

数字を見ておきます。令和7年の認知症行方不明者数は1万7,345人(前年比776人減少)。単純に365で割ると、1日あたり約47人です。警察庁の資料は、この水準について「依然として高い水準で推移している」と書いています。

推移はこうです。平成28年1万5,432人 → 令和5年1万9,039人(この10年で最多)→ 令和6年1万8,121人 → 令和7年1万7,345人。2年続けて減ってはいますが、10年前より多い水準です。

そして、行方不明になった原因・動機の全体(令和7年・総数8万486人)を見ると、疾病関係が2万2,753人(28.3%)で最も多く、そのうち認知症が1万7,345人で全体の21.6%。つまり、行方不明になる方のおよそ5人に1人が、認知症を理由とした行方不明です。男女別では男性56.0%、女性44.0%で、男性のほうが多い傾向が続いています。

玄関先に並んだ靴 「靴がない」に気づくのは、たいてい家族です(写真はイメージです)

2. 時計は「届け出た瞬間」から動きはじめる

ここがこの記事の中心です。

令和7年中に所在確認・死亡確認された認知症行方不明者は16,729人。この方たちが、届出の受理からどれくらいで見つかったかという表が、警察庁の資料に載っています。

受理からの期間 所在確認 死亡確認
受理当日 11,369人 127人
2日〜3日 4,487人 187人
4日〜7日 195人 67人
8日〜14日 58人 48人
15日〜1か月未満 23人 45人
1か月〜3か月未満 21人 48人
3か月〜6か月未満 1人 19人
6か月〜1年未満 1人 11人
1年〜2年未満 1人 13人
2年〜 0人 8人

(警察庁「令和7年における行方不明者届受理等の状況」より。所在確認16,156人・死亡確認573人の内訳)

警察庁自身がこの表につけている説明が、こうです。

令和7年中に所在確認・死亡確認された認知症行方不明者のうち、94.8%(16,729 人中15,856 人)が受理から3日以内に所在確認されている。

94.8%が3日以内。ほとんどの方は、無事に見つかっています。ここは、まず安心していい数字です。

問題は、その次に書かれている注記のほうです。

受理から4日以降に所在確認・死亡確認された認知症行方不明者のうち、所在確認された者の割合は53.7%(559 人中300 人)。受理から15 日以降は死亡確認の割合の方が高くなる。

表を縦に見ると、これがはっきり分かります。受理当日は、所在確認11,369人に対して死亡確認127人。ところが15日〜1か月未満では、所在確認23人に対して死亡確認45人と、逆転しています。

つまり——3日以内なら、ほとんど生きて見つかる。4日目を過ぎると、見つかった人の約半分が、亡くなって見つかるということです。

シンプルな壁掛け時計 この時計が動きはじめるのは、家族が届け出た瞬間からです(写真はイメージです)

そして、ここが一番お伝えしたいところです。

この統計が数えている時間は、すべて「届出を受理してから」です。

ご家族が「いないな」と気づいてから、「もう少し待ってみよう」「近所を一回りしてから」「夕飯までに帰らなかったら」と考えている時間は、この表のどこにも入っていません。3日という時計は、届け出るまで、動きはじめないのです。

なお、「何時間以内に届け出るべき」という基準は、国の資料には書かれていません。警察庁がこの資料で繰り返し書いているのは、警察側の活動について「迅速な発見活動を展開することが重要」ということです。家族への時間の指示ではありません。だから私も、ここで「◯時間で通報を」とは書きません。

書けるのは、この統計の時計が動き出す起点はどこかという、それだけです。警察への相談は、早すぎて困るものではありません。

3. 探す場所は、思っているより近い

「電車に乗って遠くへ行ってしまったかもしれない」——ご家族から、よく聞く不安です。

実際にそういうケースもあります(後で出てくる事例では、130km離れた駅で見つかった方がいます)。ただ、亡くなって見つかった方に限って見ると、統計はまったく逆のことを示しています

令和6年に届出を受理した認知症の行方不明者のうち、亡くなって見つかった方は491人。その距離の内訳がこうです。

いなくなった場所からの距離 人数
〜1km 235人
〜5km 147人
〜10km 48人
〜20km 26人
〜30km 9人
〜40km 4人
〜50km 6人
50kmを超える 15人
不明 1人

5km圏内で382人(77.8%)。そのうち1km以内だけで235人——全体のほぼ半分です。

そして、見つかった場所がこうです。

死亡確認場所 人数
河川・河川敷 115人
用水路・側溝 79人
山林 71人
田畑 44人
路上 37人
海・海岸 31人
住宅等敷地内 30人
屋内 23人
池沼 11人
湖・ダム 6人
その他 44人

河川・河川敷、用水路・側溝、山林の3つで、全体の54.0%。警察庁は、この3つについてこう書いています。

これらの場所は、人的捜索が困難となる場合も多く、発見の遅延が行方不明者の生命に大きく影響する。

コンクリートの用水路 用水路・側溝で79人。家のすぐそばにある「探しにくい場所」です(写真はイメージです)

この2つの数字——「1km以内が最多」と「見つかった場所は水のそば」——を並べると、探すときの優先順位が変わります。

駅やバス停を先に見に行きたくなります。実際、そこも見るべきです。でも同時に、家から歩いて数分の、ふだん誰も通らない用水路のふち、側溝のふた、川の土手の草むら——近すぎて、探す場所として意識に上がらないところが、統計上いちばん多いのです。

しかも、そういう場所は上から覗き込まないと見えません。車で通っても、道を歩いても、見えない。だから発見が遅れる。警察庁がドローンによる捜索の有効性を書いているのも、この「人的捜索が困難」という理由からです。

草の生えた川の土手 河川・河川敷で115人。草に隠れると、道路からは見えません(写真はイメージです)

水辺そのものの危険については、こちらの記事でも国の統計を扱っています。あわせてお読みください。

4. 見つけるのは、たいてい「近所の人」です

もうひとつ、意外な数字があります。

令和7年中に所在確認等がなされた認知症行方不明者は17,268人。その「発見の端緒」、つまりどうやって見つかったかの内訳がこうです。

発見の端緒 人数
民間通報 8,114人
その他(届出の取下げ、自らの帰宅など) 5,746人
職務質問 2,037人
立ち回り調査 1,021人
保護願出(本人から) 326人
立入調査等 17人
犯罪捜査 7人
少年補導 0人

民間通報が47.0%で最多です。警察庁の説明はこうです。

所在確認等がなされた認知症行方不明者のうち、約半数が民間通報を端緒に発見されており、関係行政機関等との間で構築している発見・保護のためのネットワーク等と連携し、迅速・多角的な発見活動を早期に展開することが必要

警察官が職務質問で見つけた2,037人の、4倍が、地域の人からの通報で見つかっています。

同じ資料に載っている実際の事例が、その中身をよく表しています。

認知症を有する女性(80代)が自宅から行方不明となった事案について、受理直後に警察から情報提供を受けた自治体が防災行政無線、自治体の公式LINE等により広報した結果、公式LINEを見た地域住民が行方不明者を発見し、警察へ通報したことにより、受理から約2時間後、自宅から約2キロメートル離れた路上において、行方不明者を無事発見・保護するに至った。

もう1件。

認知症を有する女性(70代)が旅行先で行方不明となった事案について、受理直後に警察から情報提供を受けた自治体が防災行政無線による広報等を実施した。後刻、防犯カメラの記録映像から行方不明者の進行方向が判明したことから、再度、防災行政無線で広報したところ、受理から約6時間後、広報を聞いた地域住民が行方不明者を発見し、警察へ通報した

どちらも、**「警察が探して見つけた」のではなく、「情報が地域に流れて、住民が見つけた」**という構図です。そしてどちらも、受理直後に自治体へ情報が渡っている

鉢植えの並ぶ近所の家並み 47.0%は、この道沿いのどこかにいる誰かが見つけています(写真はイメージです)

ここから、家族が事前にできることが一つ出てきます。

「うちの親は認知症で、ひとりで出てしまうことがあります」と、近所と地域に先に伝えておく。

言いにくいことです。私も、ご家族が言い出せない気持ちはよく分かります。でも、47.0%という数字は、「知っている人が近くにいたかどうか」で動く数字です。知らない人は、道を歩いている高齢の方を見ても、通報しません。

5. 「位置がわかるもの」は、当日発見率を68.0%→84.9%に変える

警察庁の資料には、もう一つ、はっきりした比較が載っています。

同じ凡例で、こう定義されています。

GPS機器等… 自らの位置情報を記録又は送信する機器のほか、紛失防止タグをいう。

紛失防止タグも含む、というのがポイントです。そのうえで、令和7年の数字がこうです。

受理当日に所在確認された割合
GPS機器等を活用して発見された方(139人) 84.9%(118人)
所在確認・死亡確認された方 全体(16,729人) 68.0%(11,369人)

当日中に見つかる割合が、68.0%から84.9%に上がります。

具体例も3件載っています。

認知症を有する男性(80代)が自宅から行方不明となった事案について、家族が行方不明者に持たせていたGPS機器から位置情報を取得したところ、電車に乗って県外へ移動していることが判明した。位置情報に基づいて捜索したところ、受理から約2時間後、自宅から約130キロメートル離れた駅構内において、行方不明者を無事発見・保護するに至った。

もう1件は、病院を訪れていた70代男性が病院を抜け出したケースで、家族が持たせていた紛失防止タグの位置情報から、約3時間後に8km離れた路上で保護されています。

手のひらにのせた家の鍵 いつも持って出るものに、一つ付けておく。それだけで当日発見率が変わります(写真はイメージです)

「持たせても、置いていってしまう」——これも、よく聞きます。だから、財布や鍵や杖や靴のような、本人が「持っていく」と決めなくても一緒に出ていくものに付けるのが現実的です。上の事例でも、**家族やケアマネジャーが「持たせていた」**と書かれています。

なお、自治体によっては、GPS機器の貸与制度があります。警察庁の事例⑤には、無事保護されたあとの後日談として、こう書かれています。

後日、行方不明者に対して、自治体からGPS機器が貸与され、以降の未然防止対策も図られた。

ただし、これが全国どこでもある制度だとは書けません。自治体ごとの取り組みです。窓口としては、地域包括支援センターが確実です。厚生労働省の「認知症施策推進基本計画」(令和6年12月)も、認知症の人や家族の相談体制として、地域包括支援センターや認知症疾患医療センター等の整備を掲げています。まだどこにも相談していない場合、最初の一歩はここになります。

6. そして——見つけたときが、救急のはじまりです

ここからが、救急の現場の話です。

無事に見つかった。その瞬間、ご家族は当然、安心します。「よかった、帰ろう」となります。でも、救急の現場から見ると、ここからが本番です。

なぜなら、その方は、何時間か屋外にいたからです。

8月に屋外に何時間もいた、ということ

環境省の『熱中症環境保健マニュアル2022』は、熱中症をこう定義しています。

高温環境下に長期間いたとき、あるいはいた後の体調不良はすべて熱中症の可能性があります。

**「いた後」**が入っています。涼しい家に連れて帰ったあとの不調も、熱中症の可能性に含まれるということです。

そして、同じマニュアルは、熱中症の一つの病態である熱疲労について、こう書いています。

これが、高度の脱水と循環不全により生じる熱疲労[heat exhaustion]です。体温は正常もしくは少し上昇しますが、40℃を超えることはありません。

**熱がないから大丈夫、ではありません。**体温が正常のままの熱中症が、ちゃんと存在します。この点は、こちらの記事で詳しく書いています。

水を飲ませる前に、確認すること

「とりあえず水を飲ませよう」も、自然な反応です。ただ、環境省の対処の流れでは、水分・塩分の補給は「自力で水分が摂れるか」を確認したうえで行うこととされています。

**返事があいまいな方、意識がはっきりしない方に、無理に飲ませてはいけません。**むせて、気道に入ります。判断がつかないときは、飲ませずに救急要請です。

消防庁のリーフレットで、見るところ

総務省消防庁のリーフレット「救急車を上手に使いましょう」の高齢者のページには、こう書かれています。

高齢者は自覚症状が出にくい場合もありますので注意しましょう。

そして「ためらわず救急車を呼んでほしい症状」として、この場面で当てはまりやすいものが並んでいます。

  • 意識がない(返事がない)または おかしい(もうろうとしている)
  • 突然の高熱
  • 急にふらつき、立っていられない
  • 交通事故や転落、転倒で強い衝撃を受けた
  • 大量の出血を伴うけが
  • けいれんが止まらない

そして、リストの外側に、こう書かれた欄があります。

◎その他、いつもと違う場合、様子がおかしい場合◎

**「いつもと違う」を判断できるのは、家族だけです。**何時間ぶりかに会った家族が「なんかおかしい」と感じたなら、それは十分な理由です。

夕暮れの住宅街の道 見つかった、で終わりにしない。ここからが家族の観察です(写真はイメージです)

「歩けている」は、転んでいない証拠ではありません

もう一つ。屋外で何時間も過ごしていれば、途中で転んでいる可能性があります。ご本人は、転んだことを覚えていないか、説明できないことがあります。

日本整形外科学会は、大腿骨頚部(けいぶ)骨折のうち頸部内側骨折について、**骨粗鬆症がある場合は「ちょっと脚を捻ったぐらいでも発生します」**と書いており、何日か前から足の付け根を痛がっていて、あるとき急に立てなくなるという経過がよくある、とも書いています。歩けているうちは、骨折していないことの証明にはなりません。

救急車を呼ぶかどうか迷ったら、**#7119(救急安心センター)**という選択肢もあります。ただし実施地域が限られます。

7. 元気なうちに、家族で決めておく3つ

ここまでの一次資料から、家族側でできることは3つに絞れます。どれも、いなくなってからでは間に合いません。

日中の住宅街の坂道 決めておくのは、この道を探しはじめる前の話です(写真はイメージです)

1. 「迷う時間」を、あらかじめ消しておく。

3日という時計は、届け出るまで動きません。だから、「いなくなったら、まず警察に相談する」と家族の中で先に決めておく。決めておけば、当日に「もう少し待つべきか」で悩まなくて済みます。悩む時間そのものが、この統計に入っていない時間だからです。

2. 位置がわかるものを、一つ付けておく。

当日発見率が68.0%→84.9%になる、という数字は、かなり大きいです。本人が「持っていく」と決めなくても一緒に出ていくもの——鍵、財布、杖、いつも履く靴——に付けるのが現実的です。自治体の貸与制度があるかどうかは、地域包括支援センターに聞いてください。

3. 「うちは認知症です」を、地域に先に言っておく。

見つかる方の47.0%は、民間通報が端緒です。近所の方、いつものスーパー、いつもの散歩道の途中にいる方——知っている人が多いほど、この47.0%に乗りやすくなります。

そしてもう一つ、地味ですが効くこと。最近の顔写真を、スマートフォンにすぐ出せる形で入れておく。届け出るときにも、地域に情報を流してもらうときにも、写真は必ず必要になります。「その日、何を着ていたか」も同じです。

この記事で書けなかったこと

一次資料で確認できなかったので、あえて書かなかったことを並べておきます。

  • 「◯時間以内に届け出るべき」という基準。国の資料に、家族に向けた時間の基準はありません。この記事で書いたのは「統計の時計は届出から動く」という構造だけです。
  • 認知症行方不明者の死因の内訳。警察庁の資料にあるのは死亡確認の場所と距離であって、死因ではありません。したがって「熱中症で何人」「溺水で何人」とは書けません。
  • 認知症の方が行方不明中に救急搬送された人数。消防庁の『救急救助の現況』に、この集計はありません。
  • GPS機器の貸与制度は全国にあるという言い方。自治体ごとの取り組みで、内容も地域差があります。
  • 具体的な機器やサービスの推奨。公的資料に機種の推奨はありません。
  • 「徘徊」という言葉を国が使わないことにしたという説明。警察庁がこの統計で「認知症行方不明者」を使っているのは事実ですが、用語の禁止や変更の経緯を示す一次資料は確認できませんでした。

最後に——今夜、一つだけ決めておいてください

長い記事になりましたが、お願いしたいことは一つです。

ご家族の中で、「いなくなったと気づいたら、どうするか」を、今のうちに一度だけ決めておいてください。

「まず誰に連絡する」「まず警察に相談する」「写真はこのフォルダにある」——それだけです。5分で決まります。

その5分が効いてくるのは、いざそうなったときに、誰も判断できなくなるからです。私たちが現場で会うご家族は、みなさん、動揺しています。冷静に「統計上まず1km以内の水辺を」なんて考えられません。だから、考えられるうちに決めておく

夜、窓にともった灯り 94.8%は、3日以内に帰ってきます。その確率を上げる準備の話でした(写真はイメージです)

そして、もし見つかったときは——**抱きしめたあとに、もう一度顔を見てください。**返事ははっきりしているか。汗はかいているか。足を引きずっていないか。そこから先が、私たちの仕事の始まりです。

大切なご家族を守るために、この記事が少しでもお役に立てばと願っています。

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参考文献


※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、医療行為・医療診断・治療の指示ではありません。ご本人の様子がふだんと違うときは、迷わず119番通報してください。

※引用した統計は、警察庁が公表している全国集計です。死亡確認の場所・距離のデータは令和6年中に届出を受理した分、発見までの期間・発見の端緒・GPS機器等のデータは令和7年中に所在確認等がなされた分で、母集団が異なります。年をまたいで足し合わせることはできません。

※自治体の見守りネットワークやGPS機器の貸与制度は、地域によって有無・内容が異なります。お住まいの市区町村または地域包括支援センターにご確認ください。

※記事中の事例は、警察庁の公表資料に匿名化された形で掲載されているものを引用しています。

⚠️ 免責事項この記事の情報は一般的な救急知識の情報提供を目的としており、医療行為や医療診断に代わるものではありません。症状がある場合は必ず医療機関を受診してください。生命の危機を感じる症状は、迷わず119番に通報してください。

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