今朝の記事では、ふるえが止まったほうが危ない低体温症を書きました。症状が消えるほうが悪化している、という形の病気でした。
夕方の今日は、同じ「症状が目立たないほうが危ない」形を、まったく別の場所で見ます。
生後数か月の赤ちゃんの、呼吸です。
そしてこの話には、家族がいちばん誤解しやすい物差しがあります。
せきの音の大きさです。
音が小さいほうが軽い、とは限りません(写真はイメージです)
1. 症状——「かぜだと思っていました」
はじめにお断りしておきます。**これは特定のどなたかの事案の話ではありません。**公的資料に書かれている典型的な症状の並び方を、家庭で見える形に置き直したものです。
典型的には、こういう順番で進みます。
1日目。ただの鼻かぜに見えます。
鼻水が出ます。くしゃみをします。熱は出ないこともあります。せきも、出たとしても軽いものです。
MSDマニュアル家庭版は、細気管支炎の始まりをこう書いています。
細気管支炎は、かぜと同じ症状(鼻水、くしゃみ、微熱、軽いせき)で始まります。
(MSDマニュアル家庭版「細気管支炎」)
上の子がいる家庭なら、上の子も同じように鼻をすすっていることがあります。年長児や大人が同じウイルスをもらっても、たいていは軽いかぜで終わります。
2日目から3日目。呼吸が変わります。
ここが分かれ目です。同じ資料が続けてこう書いています。
数日たつと、呼吸が困難になり、呼吸が速くなり、せきがひどくなることがあります。通常は、息を吐くときに高い音が聞こえます(呼気性喘鳴)。
(同)
ただし——ここからが大事なところです。
同じ資料は、その直後にこう書いています。
たいていの場合、症状は軽いです。呼吸がやや速くなって、ひどい鼻づまりを起こす場合もありますが、それでも元気で、機嫌はよく、しっかり食べます。
(同)
つまり、**「呼吸が少し速い」「鼻がつまっている」だけでは、まだ軽いほうに入ります。**では重いほうは何が違うのか。
症状が悪化すると、呼吸が速く、浅くなり、鼻の穴を膨らませて呼吸のための筋肉をいっぱいに使います。むずかったり、ぐずったりし、嘔吐して水分をとれなくなるため脱水になることがあります。通常は発熱がありますが、ない場合もあります。
(同)
読み比べていただくと分かります。軽いほうと重いほうを分けているのは、せきの音ではありません。
- 元気か、機嫌はどうか
- しっかり飲めているか
- 呼吸が「速く、浅く」なっていないか
- 鼻の穴を膨らませて、体じゅうの筋肉で呼吸していないか
そして、「通常は発熱がありますが、ない場合もあります」。熱がないことは、安心の材料になりません。
一回にどれだけ飲めたか。それが家庭で取れるいちばん確かな数字です(写真はイメージです)
熱の数字より、呼吸のようすと飲めた量です(写真はイメージです)
2. 現場で、私たちが考えていること
赤ちゃんの呼吸で呼ばれたとき、私たちが最初に見るのは、泣き声でも、せきでもありません。
胸と、おなかと、鼻です。
- 一分間に何回、胸が上下しているか
- 息を吸うとき、肋骨の間や、みぞおちがへこんでいないか
- 鼻の穴が、息を吸うたびに開いていないか
- 唇や口のまわりの色
MSDマニュアル プロフェッショナル版は、この状態をこう書いています。
一部の患児では,頻呼吸,陥没呼吸,および喘鳴様または乾性発作の咳嗽(hacking cough)を特徴とする進行性に増強する呼吸窮迫がみられる。
(MSDマニュアル プロフェッショナル版「細気管支炎」)
「陥没呼吸(かんぼつこきゅう)」というのは、息を吸うときに、肋骨の間やみぞおち、鎖骨の上あたりが内側にへこむことです。空気が入りにくいぶん、余計な力を使って吸っている証拠です。
そして、同じ資料に、現場でいちばん怖い一文があります。
乳児では頻呼吸および陥没呼吸はあるものの初めは重症感はなく呼吸窮迫も起こしていないようにみえるが,感染が進行するにつれて徐々に嗜眠傾向が出てくることがある。
(同)
「初めは重症感はなく…ようにみえる」。
呼吸は速い。へこんでもいる。でも、機嫌はそこそこ悪くないし、泣きもする。だから「まだ大丈夫」に見える。そこから、だんだんぐったりしてくる——という順番です。
家族が「思ったより元気そうだったので」とおっしゃるのは、見落としではありません。そう見える病気だ、と教科書のほうに書いてあります。
触れれば分かることがあります。冷たさ、汗、力の入り方(写真はイメージです)
3. 病院で確かめること——数字は指先から出ます
病院で最初に行われるのは、多くの場合、大がかりな検査ではありません。
MSDマニュアル家庭版は、診断の項目をこう並べています。
医師による評価/パルスオキシメトリー/ときに粘膜スワブまたは胸部X線検査
(MSDマニュアル家庭版「細気管支炎」)
パルスオキシメーターは、指や足の指に挟んで血液中の酸素の値(SpO2)を測る機械です。当ブログでは高齢者のSpO2低下の記事でも扱いました。
鼻の奥をぬぐう検査でRSウイルスかどうかを調べることもありますが、プロフェッショナル版は必須ではないという立場を明記しています。
鼻腔洗浄液,鼻腔吸引物,または鼻腔拭い液を用いて行うRSV迅速抗原検査は,診断に有用であるが,一般に必須ではない
(MSDマニュアル プロフェッショナル版「細気管支炎」)
**「ウイルスの名前を突き止めること」と「いま呼吸が足りているかを確かめること」は別の作業です。**そして急ぐのは後者のほうです。
4. 傷病名は「RSウイルスによる急性細気管支炎」でした
細気管支炎(さいきかんしえん)。
肺の奥、気管支がどんどん枝分かれしていった先の、いちばん細い管(細気管支)に炎症が起きて、腫れて、空気の通り道が狭くなる病気です。
プロフェッショナル版の定義はこうです。
細気管支炎は,生後24カ月未満の乳児が罹患する下気道の急性ウイルス感染症である。
(同)
そして原因のトップが、RSウイルスです。
5. RSウイルスとは——2歳までに、ほぼ全員がかかります
厚生労働省の「RSウイルス感染症に関するQ&A」から引きます。
RSウイルス感染症(respiratory syncytial virus infection)は、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。(中略)何度も感染と発病を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに少なくとも1度は感染するとされています。
(厚生労働省「RSウイルス感染症に関するQ&A」Q1)
**2歳までに、ほぼ100%。**特別な病気ではありません。多くの子が、多くの家庭が、必ず一度は通ります。
問題は、通り方に幅があることです。同じQ&Aが、その幅を数字で書いています。
初感染乳幼児の約7割は、鼻汁などの上気道炎症状のみで数日のうちに軽快しますが、約3割では咳が悪化し、喘鳴、呼吸困難などが出現します。
(同 Q4)
7割は鼻かぜで終わります。3割は下に降りてきます。
そして、重くなりやすい月齢がはっきり書かれています。
RSウイルスの初回感染時には、より重症化しやすいといわれています。特に生後6ヶ月以内にRSウイルスに感染した場合には、細気管支炎、肺炎など重症化する場合があります。
(同 Q1)
感染によって重症化するリスクの高い基礎疾患を有する小児(特に早産児や生後24か月以下で心臓や肺に基礎疾患がある小児、神経・筋疾患やあるいは免疫不全の基礎疾患を有する小児等)や、生後6か月以内の乳児への感染には特に注意が必要です。
(同 Q5)
MSDマニュアル プロフェッショナル版も、月齢のピークを同じ方向で書いています。
大半は生後24カ月未満の小児に発生し,生後2カ月から6カ月の乳児で発生率が最も高い。
(MSDマニュアル プロフェッショナル版「細気管支炎」)
日本小児科学会も、年齢による重さの違いを、こう書いています。
発熱、鼻汁、咳嗽、喘鳴。年長児や成人では、軽いかぜ症状ですむ場合も多いが、乳児早期に感染した場合は急性細気管支炎や肺炎となり、呼吸困難から人工呼吸管理を要することもある。
(日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説」2026年4月2日改訂・RSウイルス感染症の項)
同じウイルスで、同じ家の中で、大人は「軽いかぜ」、乳児は「人工呼吸管理」——それがこの病気の幅です。
日本国内の入院の様子については、厚生労働省の審議会(予防接種・ワクチン分科会 ワクチン評価に関する小委員会)の資料に、研究報告のまとめがあります。
レセプトデータの研究において、小児においては、受診は2歳未満で多く発生し、特に生後6か月未満〜1歳未満の年齢で入院の発生が多く、1歳未満においては、入院患者の約1割は人工呼吸器の使用が必要という報告がある。 多施設の小児科病棟における前向き観察研究では、全入院患者(811例)のうち、人工呼吸器装着は3%(25例)、死亡は0.6%(5例)に発生したという報告がある。
(厚生労働省 第27回 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会 資料1-1/2024年9月4日 p.18)
**「入院した1歳未満の赤ちゃんの約1割は人工呼吸器」**という数字は、外来に来る子ども全体の話ではありません。入院した子のなかの割合です。読み違えないでください。それでも、この病気が行き着く先がどこかは、はっきり示しています。
そして治療について。厚生労働省Q&Aは、はっきりこう書いています。
RSウイルス感染症には特効薬はありません。治療は基本的には対症療法(酸素投与、点滴、呼吸管理など症状を和らげる治療)を行います。
(厚生労働省 Q&A Q8)
**薬でウイルスを消すのではなく、呼吸と水分を支えて、通り過ぎるのを待つ病気です。**だからこそ、「呼吸が足りているか」「飲めているか」が、そのまま治療の中身になります。
酸素と点滴。支えるための治療です(写真はイメージです)
6. いちばん危ない形は、せきもゼーゼーもありません
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
厚生労働省のQ&Aは、Q4の最後に、こう書いています。
重篤な合併症として注意すべきものには、無呼吸発作、急性脳症等があります。生後1か月未満の児がRSウイルスに感染した場合は、非定型的な症状を呈するために診断が困難な場合があり、また突然死に繋がる無呼吸発作を起こすことがあります。
(厚生労働省「RSウイルス感染症に関するQ&A」Q4)
「非定型的な症状を呈するために診断が困難」。
医師が診ても分かりにくい、と国の資料が書いています。家族が分からないのは当然です。
眠っているのか、呼吸が止まっているのか。生後間もない時期は、そこが見分けにくい(写真はイメージです)
MSDマニュアル プロフェッショナル版は、その順番まで書いています。
低月齢乳児(2カ月未満)および早産児では反復性の無呼吸発作の後,無呼吸が消失し,24~48時間かけて,より典型的な細気管支炎の症状と徴候が現れる場合がある。
(MSDマニュアル プロフェッショナル版「細気管支炎」)
読み違えないでください。先に来るのが無呼吸で、せきやゼーゼーは、そのあと24〜48時間かけて出てくることがある、と書いてあります。
家庭版も、同じことを書いています。
早産児や生後2カ月未満の乳児では、呼吸が短時間止まることがあります(無呼吸)。
(MSDマニュアル家庭版「細気管支炎」)
「せきが出ていないから、まだ呼吸器の病気じゃない」は、この月齢では成り立ちません。
さらに、MSDマニュアル家庭版の「RSウイルス感染症」のページには、もっと広い月齢で、もっと直接的に書かれています。
生後6カ月未満の乳児では、RSウイルス感染の最初の症状として無呼吸(一定時間だけ呼吸が止まること)がみられることがあります。
(MSDマニュアル家庭版「RSウイルス感染症とヒトメタニューモウイルス感染症」)
「最初の症状として」。
整理します。無呼吸が起こりうる月齢は、資料によって書き方が違います。
| 資料 | 月齢 |
|---|---|
| 厚生労働省 Q&A(Q4) | 生後1か月未満 |
| MSDマニュアル 家庭版・プロフェッショナル版「細気管支炎」 | 早産児および生後2カ月未満 |
| MSDマニュアル 家庭版「RSウイルス感染症」 | 生後6カ月未満 |
**どれか一つに丸めないでください。**狭いほうに合わせると、外れたときに取り返しがつきません。そして3つのうちいちばん広い「生後6カ月未満」は、厚生労働省が「特に注意が必要」としている月齢(Q5)と、ぴったり重なります。
7. 消防庁のリーフレットには、「年齢」そのものの欄があります
総務省消防庁の『救急車を上手に使いましょう』(令和7年12月発行)は、「すぐに119番」の症状を、おとな・高齢者・こども(15歳以下)の3ページに分けて、体の部位ごとの欄で並べたリーフレットです。
こどものページの胸の欄には、こう書かれています。
● 激しい咳やゼーゼーして呼吸が苦しそう ● 呼吸が弱い
(総務省消防庁『救急車を上手に使いましょう』こども(15歳以下)のページ「胸」欄)
**「激しい咳やゼーゼー」と「呼吸が弱い」が、同じ欄に並んでいます。**強い側と弱い側の両方が、同じ「すぐに119番」に入っています。
顔の欄には、こうあります。
● くちびるの色が紫色 ● 顔色が明らかに悪い
(同・こどものページ「顔」欄)
そして——このリーフレットのこどものページには、顔・胸・頭・おなか・手足と並んで、もう一つ欄があります。
生まれて3カ月未満の乳児 ● 乳児の様子がおかしい
(同・こどものページ)
今回、PDFの文字を座標ごと取り出して確認しました。「生まれて3カ月未満の乳児」は、注釈でも補足でもなく、「顔」「胸」「頭」「おなか」と同じ見出しの位置に置かれた一つの欄です。そして、その欄に入っている項目は「乳児の様子がおかしい」ただ一つ。
症状名が、一つも書かれていない欄です。
おとなのページにも、高齢者のページにも、こういう欄はありません。今回、全9ページの文字を機械的に検索しましたが、「カ月」「乳児」という語が出てくるのは、この5ページ目だけでした。年齢そのものが「すぐに119番」の項目になっているのは、この一つだけです。
ついでに、全9ページで0件だった語も書いておきます。**「無呼吸」「哺乳」「ミルク」。**この記事でここまで書いてきた、乳児の呼吸の見かたに関わる言葉は、リーフレットには一つも載っていません。
だからこそ、消防庁は生後3か月未満について症状を列挙するのをやめて、「様子がおかしい」の一言にしたのだと読めます。列挙できないものを、家族に列挙させないための欄です。
意味するところは、はっきりしています。
生後3か月未満の赤ちゃんについては、「どんな症状が出たら」を家族が判断しなくていい——国のリーフレットは、そう作られています。
迷う時間そのものを、この欄は減らしてくれます(写真はイメージです)
8. 受診の目安は、国が2つに絞って書いています
では、生後3か月を過ぎた赤ちゃんはどうか。
厚生労働省のQ&Aには、そのものずばり「受診の目安」という項目があります。
**機嫌がよく、辛そうでなければ、慌てずに様子をみたり、かかりつけ医にご相談ください。ただし、呼吸が苦しそう、食事や水分摂取ができない時は医療機関への受診をご検討ください。**受診を迷った場合や夜間・休日の場合は、こどもの救急などの関係Webサイトを参照したり、#8000(こども医療相談)にご相談ください。
(厚生労働省「RSウイルス感染症に関するQ&A」Q7)
短い文ですが、判断の軸が2つに絞られています。
- 呼吸が苦しそうか
- 食事や水分摂取ができるか
せきの回数も、せきの音も、熱の高さも、この目安には入っていません。
MSDマニュアル家庭版が入院を要する状態として挙げているのも、ほぼ同じ並びです。
呼吸困難が悪化したり、皮膚の色が青色や灰色がかった色に変わったり、疲労や脱水症状が現れたりした場合は入院させる必要があります。
(MSDマニュアル家庭版「細気管支炎」)
**呼吸/色/脱水。**やはり、せきの音ではありません。
赤ちゃんの「食事や水分摂取ができない」は、家庭では授乳や哺乳の量と回数として現れます。
- 一回に飲む量が、いつもよりはっきり少ない
- 飲みはじめても、途中で離してしまう(息が続かないと、飲みつづけられません)
- おしっこ(おむつの重さ・回数)がはっきり減った
飲めなくなる理由は、食欲の問題ではありません。赤ちゃんは、飲むあいだ息を止めるのに近いことをしています。呼吸に余裕がなくなると、飲むほうが先に削られます。だから「飲めない」は、消化の話ではなく呼吸の話として読んでください。
MSDマニュアル プロフェッショナル版も、脱水をこの順番で書いています。
嘔吐と経口摂取量の減少により脱水が起こる場合がある。呼吸は,疲労に伴いさらに浅く非効率的になり,呼吸性アシドーシスに至ることがある。
(MSDマニュアル プロフェッショナル版「細気管支炎」)
**疲れると、呼吸は激しくなるのではなく「浅く」なります。**消防庁リーフレットの「呼吸が弱い」が、そのまま「すぐに119番」に入っている理由です。静かになったことは、良くなった証拠ではありません。今朝の低体温症の記事と、まったく同じ形です。
そして、なぜ乳児の呼吸をここまで気にするのか。その答えが、『救急蘇生法の指針2025(市民用)』にあります。
乳児の場合にも、少なくとも胸骨圧迫を行うことが前提です。そのうえで、乳児では呼吸の状態が悪くなったことが原因で心停止に至ることが多いため、できるかぎり人工呼吸も組み合わせた心肺蘇生を行うことが望ましいと考えられています。
(『改訂7版 救急蘇生法の指針2025(市民用)』p.42「参考 乳児に対する一次救命処置」)
**大人は心臓が止まって呼吸が止まる。乳児は、呼吸が悪くなって心臓が止まる。**順番が逆です。だから乳児では、呼吸そのものが、そのまま命の指標になります。
9. 9月の流行——今年は低い。それは「これから増えない」とは別の話です
RSウイルス感染症は、全国の小児科定点医療機関から毎週報告されています。国立健康危機管理研究機構(JIHS)が公開しているIDWR速報データから、自分で数字を拾いました。
2026年第34週(8月17日〜8月23日)の全国の報告数は1,090件、定点当たり0.49です(2026年8月26日作成、9月1日掲載。9月2日時点でこれが最新週です)。
2026年のここまでの推移は、こうなっています。
| 週 | 定点当たり |
|---|---|
| 第19週(5月上旬) | 0.27 |
| 第28週(7月上旬) | 0.44 |
| 第32週(8月上旬) | 0.64 |
| 第33週 | 0.51 |
| 第34週(8/17〜8/23) | 0.49 |
(IDWR速報データ 2026年第34週「疾病毎定点当たり報告数〜過去10年間との比較〜」より当方作成)
春に下がりきったあと、夏に少し戻して、いまは横ばい——という形です。第32週の0.64を境に、第33週・第34週と2週続けて下がっています。
**そして、正直に書いておきます。今年はここまで、流行としては低い年です。**同じ表で各年の第34週を並べると、こうなります。
| 年 | 第34週の定点当たり |
|---|---|
| 2018年 | 1.34 |
| 2019年 | 1.37 |
| 2020年 | 0.03 |
| 2021年 | 2.08 |
| 2022年 | 1.24 |
| 2023年 | 0.64 |
| 2024年 | 0.56 |
| 2025年 | 0.77 |
| 2026年 | 0.49 |
(同)
新型コロナで極端に減った2020年を除けば、この表に載っている年のなかでいちばん低い水準です。「今年は流行している」とは書けません。
では、これから9月にかけてどうなるのか。同じ表で過去10年の「第34週」と「第37週(9月中旬)」を並べると、年によって向きが逆になります。
| 年 | 第34週 | 第37週 |
|---|---|---|
| 2018年 | 1.34 | 2.46 |
| 2019年 | 1.37 | 3.45 |
| 2021年 | 2.08 | 1.11 |
| 2023年 | 0.64 | 0.40 |
| 2024年 | 0.56 | 0.60 |
| 2025年 | 0.77 | 1.65 |
(同)
**増えた年もあれば、減った年もあります。**去年(2025年)は0.77から1.65へ、9月のあいだにおよそ2倍になり、その水準が10月まで続きました。2018年・2019年も9月に増えています。一方、2021年・2023年は9月に減っています。
つまり、「今は低い」ことと「これから増えない」ことは別だ、というのが、この表から言えることのすべてです。「8月が過ぎたから終わり」とは言えません。
日本小児科学会も、時期を固定していません。
以前は秋・冬季期を中心に流行していたが、近年、流行が早まり、春季〜夏季に流行が始まることが多くなっている。毎年流行時期が変化し、地域によって異なる。
(日本小児科学会「学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説」2026年4月2日改訂)
**「毎年流行時期が変化し、地域によって異なる」。**カレンダーで身構える病気ではない、ということです。
厚生労働省Q&Aも、流行時期を断定していません。
RSウイルス感染症は、近年は夏から増加傾向となり秋にピークがみられていました。一方、2021年以降は春から初夏に継続した増加がみられ、夏にピークがみられています。今後の発生動向について、さらなる注意が必要です。
(厚生労働省「RSウイルス感染症に関するQ&A」Q2)
ここで一つ、注意していただきたいことがあります。
MSDマニュアルは、細気管支炎の流行時期をこう書いています。
細気管支炎の大半は冬に発生する。北半球では,発生率のピークは12月から2月である。
(MSDマニュアル プロフェッショナル版「細気管支炎」)
**日本の実際の報告データと、食い違っています。**MSDマニュアルは北半球全体の一般的な記述で、根拠として引かれているのも海外の論文です。**日本の流行時期については、日本の発生動向調査のほうを見てください。**海外の教科書に「冬の病気」と書いてあることが、9月の日本で油断する理由にはなりません。
人の集まる場所と、赤ちゃんとの距離(写真はイメージです)
番号は、迷う前に登録しておくものです(写真はイメージです)
季節が変わっても、家庭で見るものは変わりません(写真はイメージです)

