「泣いては、けろっとする」——痛がったり、機嫌が直ったり。傷病名は「腸重積症」でした
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「泣いては、けろっとする」——痛がったり、機嫌が直ったり。傷病名は「腸重積症」でした

「泣いたと思ったら、けろっとして遊びだすんです」。赤ちゃんのこの様子は、放っておいてよい合図ではありません。傷病名は「腸重積症」。日本小児外科学会は「腹痛(不機嫌)はあったりなかったりするのが特徴」と書き、MSDマニュアル家庭版は「症状がない間は比較的健康そうに見えます」と書いています。そして治療は「24時間以内であれば、8割は」おなかを切らずに戻せる時間の病気です。現役救急救命士が公的資料の原文で解説します。

今日は、**「腸重積症(ちょう・じゅうせきしょう)」**という、赤ちゃんの病気の話をします。

聞き慣れない名前かもしれません。けれど厚生労働省は、この病気についてはっきりこう書いています。

腸重積症は、ロタウイルスワクチンの接種に関わらず、乳幼児がり患することのある疾患で、まれな病気ではありません。

(厚生労働省「ロタウイルスワクチンに関するQ&A」問22)

そして、この病気には家庭でいちばん見逃されやすい特徴があります。

痛がったと思ったら、けろっと治ってしまうのです。

泣いて、体を丸めて、抱いても泣きやまない。ところが数分で泣きやみ、おっぱいを飲んだり、おもちゃを触ったりする。そしてまた泣く。——この「治ったように見える時間」があるせいで、「様子を見ましょうか」になりやすい病気です。

大人の手が、赤ちゃんの小さな手を包んでいる(顔は写っていない) 「泣きやんだから大丈夫」が、いちばん通じない病気です(写真はイメージです)

順番に説明します。

なお、この記事は**特定のどなたかの事案の話ではありません。**公的機関や学会が「典型的な形」として書いている内容を、救急の現場で使う順番に並べ直したものです。

1. 症状——「泣いたり、けろっとしたり」

私たちが呼ばれる場面、あるいは救急外来に運び込まれる場面は、資料に書かれている典型的な形でいうと、こうなります。

対象になるのは、言葉でおなかが痛いと言えない年齢の子です。日本小児外科学会は「3か月から2歳未満のお子さんによくみられる病気です」と書いています(MSDマニュアル家庭版では「生後6カ月~3歳の小児」とされており、資料によって幅があります)。

家庭で起きているのは、こういうことです。

  • 急に、火がついたように泣きだす
  • 抱いてもあやしても泣きやまない。体を丸めるようにして泣く
  • ところが数分でぴたっと泣きやみ、いつも通りに見える
  • しばらくすると、また同じように泣きだす
  • 吐く。最初は飲んだもの、繰り返すうちに吐く回数が増える

大人が赤ちゃんを抱いている後ろ姿。赤ちゃんの手が肩に置かれている(顔は写っていない) 抱いてもあやしても泣きやまない時間が、数分続きます(写真はイメージです)

日本小児外科学会の説明はこうです。

もともと元気なお子さんが急に腹痛を訴える(お腹が痛いと言えないお子さんは機嫌が悪くなる)、ようになります。**腹痛(不機嫌)はあったりなかったり(間欠的と言います)するのが特徴です。**この他嘔吐もよくみられる症状です。

MSDマニュアル家庭版は、もっと具体的に時間まで書いています。

腸重積では通常、それ以外は健康な小児に腹痛と嘔吐が突然発生します。これらの症状は典型的には15~20分間続きます。最初のうちは、症状がない間は比較的健康そうに見えます。

「症状がない間は比較的健康そうに見えます」。

ここが、この病気の全部だと思っています。家族が見ている「治った時間」は、治ったのではなく、次の波までの谷なのです。

布団の上であおむけに眠っている赤ちゃん この「けろっとしている時間」が、いちばん判断を迷わせます(写真はイメージです)

そして時間が経つと、様子が変わります。

その後、虚血が起きると、痛みが持続的になり、小児が不機嫌になったり、ぐったりしたりするほか、イチゴゼリー状の便(血液と粘液が混じった暗赤色の便)が出たり、発熱がみられたりする場合もあります。

日本小児外科学会も「さらに症状が進むとやがて顔色が悪くなったり,血が混ざったねっとりした便(イチゴゼリー状と言います)を認めるようになります」と書いています。

つまり、**イチゴゼリー状の便は「早めのサイン」ではありません。**進んだあとに出てくるものです。「血便が出たら病院へ」と覚えていると、出るまで待つことになります。

もうひとつ、MSDには家族にとって怖い一文があります。

まれに、腸重積の小児に痛みがみられず、代わりに、中毒を起こしているかのように、ぐったりした様子になります。

泣かない腸重積がある、ということです。だから「ぐったりしている」は、それ単独で受診の理由になります。

2. 救急隊が現場で疑うもの

「赤ちゃんが泣きやまない」「吐いている」で呼ばれたとき、正直に言うと、現場でこの傷病名を当てられることはまずありません。救急隊は超音波検査を持っていないからです。

私たちが現場でやっているのは、「今すぐ病院に行くべきか」を外さないことだけです。頭に浮かべるのは、だいたいこのあたりになります。

  • 急性胃腸炎(吐く・下痢する。この年齢でいちばん多い)
  • 腸重積症(間欠的に泣く・吐く・血便)
  • 鼠径ヘルニアの嵌頓(かんとん)(足の付け根が腫れて戻らない)
  • 中耳炎など、おなか以外の痛み(乳児は痛い場所を言えません)
  • 頭の中の問題・重い感染症(ぐったりしている場合)

大人の肩越しに抱かれている赤ちゃんの後頭部(顔は写っていない) 現場では病名を当てるのではなく、「今すぐ病院へ行くべきか」を外さないことに集中します(写真はイメージです)

そして、腸重積症と胃腸炎はまぎらわしいのです。日本小児外科学会は、腸重積が起きる理由についてこう書いています。

リンパ組織が大きくなる原因としては風邪などのウイルス感染が指摘されております.そのために約3割の腸重積症のお子さんに感冒症状を認めます.

**3割はかぜ症状を伴っている。**つまり「かぜをひいていたから、そのせいだろう」という説明は、腸重積を否定する材料になりません。むしろ背景として重なります。

だから、現場で私たちが家族に聞くのは、病名を当てるための質問ではなく、時間と回数の質問です。

  • いつから泣きだしたか(何時ごろか)
  • 泣いている時間と、泣きやんでいる時間は、それぞれどれくらいか
  • 何回吐いたか。吐いたものの色は
  • 最後のおむつはいつか。便の色は
  • ぐったりしている時間はあるか

おむつをはいた赤ちゃんの足元(顔は写っていない) 便の色は、家族しか知り得ない情報です(写真はイメージです)

このうち**「いつから」**は、あとで病院がいちばん必要とする情報です。理由は次の章に出てきます。

3. 病院で行われる検査

日本小児外科学会が挙げている診断方法は、3つです。

お腹をよく触ると外からお腹の中にソーセージのようなかたまりを触ったり,超音波検査で腸重積を起こした部分を映し出したり,レントゲン検査で診断をします.

MSDマニュアル家庭版も「超音波検査を行って、診断を確定します」としています。

手袋をした手が、超音波検査のプローブにゼリーを塗っている 診断の入口は、痛みのない超音波検査です(写真はイメージです)

**超音波検査(エコー)です。**採血でも、レントゲンだけでもなく、おなかにゼリーを塗って当てる検査で分かる。痛くありませんし、時間もかかりません。

ここは、家族が病院に行くことをためらう理由をひとつ減らしてくれる事実だと思っています。「大げさな検査になるのでは」と心配する必要は、少なくとも診断の入口についてはありません。

4. 傷病名は「腸重積症」でした

検査でこの形が見つかったとき、つく傷病名が**「腸重積症」**です。

そして、ここからがこの記事でいちばん伝えたいところです。この病気は、時間で治療法が変わります。

日本小児外科学会の記述です。

この病気にかかったと思われる時間から**24時間以内であれば、8割は造影剤(レントゲンに写る物質)や空気を肛門から注入して圧を加えることにより腸重積を元の状態(これを整復といいます)にすることが出来ます.**しかし,2割前後のお子さんは圧をかけても整復ができなかったり、腸管が傷ついたりするため手術により整復することになります。重責した腸の組織に血液が流れない状態が長く続いた場合は腸を切り取らなければならないこともあります。

読み方を整理します。

  • **「かかったと思われる時間から24時間以内」**が基準です。病院に着いた時間ではなく、最初に泣きだした時間から数えます
  • その範囲なら、8割はおなかを切らずに、空気や造影剤を肛門から入れて押し戻せる
  • 遅れると、手術になり、さらに遅れると腸を切り取ることがある

白い壁に掛けられたシンプルな丸い掛け時計 数えはじめるのは、病院に着いた時刻ではなく、最初に泣きだした時刻です(写真はイメージです)

だから、救急隊が現場で「いつから泣きだしましたか」と繰り返し聞くのです。あの質問は、記録のためではありません。治療法が変わる分かれ目の数字を取りに行っています。

「何時ごろだったか、はっきりしない」と言われることは、当然あります。それでも構いません。**「お昼寝から起きたあと」「夕飯の前」でも十分です。**思い出せる範囲で結構ですので、伝えてください。

なぜ時間で変わるのか。MSDマニュアル家庭版が理由を書いています。

正常な状態に戻らない場合、はまり込んだ腸の一部が腸を閉塞するため、患部への血流が遮断されます(虚血と呼ばれます)。**血流が2~3時間以上止まると、血流を遮断された腸は死んでいきます(壊疽[えそ])。**腸の一部が死ぬと小さな穴(穿孔[せんこう])が生じやすくなり、細菌が腹腔に入り込んで、腹腔内で重篤な感染症(腹膜炎)が起こります。

日本小児外科学会も「治療が遅れると重積した部分の腸の血液の流れが悪くなって腸管が腐ったり、腐った腸から菌が全身に入り込んでしまうことがあり,早期に診断し治療する必要があります」と書いています。

痛みが「持続的」に変わったときは、谷がなくなったということです。

5. 腸重積症とは

そもそも何が起きているのか。日本小児外科学会の説明です。

腸重積症は,口側の腸管が肛門側の腸管に入り込むことによって腸が閉塞状態となる病気です.典型的な腸重積症は小腸の終りの腸である回腸が大腸に入り込むために生じます.

MSDマニュアル家庭版は、たとえを使っています。

腸重積は、**スライドさせて伸ばす望遠鏡のように、腸の一部が別の部分の中にすべり込む病気です。**はまり込んだ腸の一部は腸を閉塞させ、血流を遮断します。

昔の望遠鏡や、ラップの芯を想像してください。**筒が、自分自身の中に入り込む。**入り込んだところで腸の中身が通れなくなり、同時にその部分に走っている血管も一緒に折り込まれるので、血が流れなくなります。

**だから「詰まった」だけの病気ではなく、「血が止まった」病気なのです。**時間が効いてくる理由はここにあります。

原因については、学会がこう書いています。

原因としては腸に分布しているリンパ組織が腫れて大きくなり,この部分から大腸に入っていくと考えられておりますが,**ごくまれ(全体の3~4%)**には小腸のできものがあることや,メッケル憩室という生まれつき腸管の一部が袋状に残った場合にはこれらの部分から腸重積がおきます.

MSDマニュアル家庭版は「ほとんどの場合、原因は不明です」としたうえで、約25%ではポリープやメッケル憩室などが引き金になるとしています。資料によって割合の見方が違うので、ここは「多くは、はっきりした原因がない」と理解しておくのが安全です。

どのくらい起きるのか。国立健康危機管理研究機構(旧・国立感染症研究所)が公開しているサーベイランスの報告では、全国9道県の協力医療施設で調べた1歳未満の入院例として、こう報告されています。

人口当たりの1歳未満の発症率はワクチン導入前が10万人・年当たり92.2例,導入後が83.4例となっている。

(IASR Vol.40 p213-215:2019年12月号「腸重積症サーベイランスのアップデート」。1歳未満・9道県に限った調査であり、全国の発生数ではありません)

同じ報告には、治療の結果も書かれています。ワクチン導入後の期間では「報告例の92.9%が非観血的整復で治療をされ、観血的整復例は54例または5.8%」「96.1%の症例が合併症を認めず回復しており、死亡例の報告は無かった」。導入前の期間では3例(0.1%)の死亡報告がありました。

**きちんと間に合えば、ほとんどはおなかを切らずに治り、回復します。**この病気で家族に持って帰っていただきたいのは、怖さよりもむしろこちらです。

6. 避けるには

正直に書きます。**腸重積症そのものを予防する方法は、参照した公的資料には書かれていません。**食べ物でも、抱き方でも、生活習慣でもありません。多くは原因不明で起こります。

ですので、「避ける」は早く気づくという意味になります。国の資料が、家庭で見るべきものをそのまま名指ししてくれています。

厚生労働省「ロタウイルスワクチンに関するQ&A」問22です。

ロタウイルスワクチンの接種を受けた後に腸重積症を発症する可能性もあるため、特に接種を受けてから約1~2週間の間に「突然はげしく泣く」、「機嫌が良かったり不機嫌になったりを繰り返す」、「嘔吐する」、「血便がでる」、「ぐったりして顔色が悪い」などの症状が一つでもみられた場合や、いつもと様子が違うと感じた場合は、速やかに医療機関を受診させてください。

この5つは、ワクチンとは無関係に起きる腸重積症の症状そのものです。国が「一つでもみられた場合」と書いていることに注目してください。5つそろうのを待つ必要はありません。

赤い背景に置かれた白い電子体温計 「熱」も進行後の症状のひとつとして挙げられています(写真はイメージです)

そのうえで、ワクチンについて厚労省が書いていることを、正確に置いておきます。

  • 0歳児は、月齢が進むと、腸重積症という病気にかかりやすくなります(ワクチンと無関係に、です)
  • ロタウイルスワクチンの接種によっても「特に初回接種から約1~2週間は、腸重積症のリスクが増すという研究報告もあります
  • だから初回接種の標準的接種期間が出生14週6日後までとされており、「初回接種を出生15週0日後以降に受けることは、安全性の観点から、お勧めしていません

つまり、**接種のスケジュールを守ることそのものが、この病気に対する数少ない「できること」**です。母子健康手帳に書かれている期限は、事務的な締切ではありません。

そして、接種後1〜2週間は、上の5つの様子を意識して見ておく期間になります。

7. 家族へ——119番と♯8000の使い分け

総務省消防庁のリーフレット『救急車を上手に使いましょう』(令和7年12月発行)の**こども(15歳以下)**のページには、「こんなときにはすぐに119番!!」として、おなかの欄にこう並んでいます。

  • 激しいおなかの痛みで苦しがる
  • 嘔吐が止まらない
  • 便に血がまじった

そして意識の障害の欄に、こうあります。

  • 乳児の様子がおかしい

さらにページの最後に、こう書かれています。

◎ その他、お母さんやお父さんから見て、いつもと違う場合、様子がおかしい場合

正直に、この資料の限界も書いておきます。このリーフレットの全9ページを見ても、「腸重積」という言葉は一度も出てきません。「機嫌」という言葉も出てきません。「泣いたり、けろっとしたりを繰り返す」という表現も、ありません。

つまり、間欠的に泣くという、この病気のいちばんの特徴は、119番の判断リストには載っていないのです。載っているのは「激しいおなかの痛みで苦しがる」「嘔吐が止まらない」「便に血がまじった」という、進んだあとの姿のほうです。

だから、家庭での判断はこう分けるのが現実的だと思っています。

すぐ119番でよい場合(リーフレットに載っている形です)

  • ぐったりしている/顔色が明らかに悪い
  • 意識がはっきりしない、反応がおかしい
  • 嘔吐が止まらない
  • 便に血がまじった(イチゴゼリー状の便)
  • 激しくおなかを痛がって苦しがる

迷ったら電話で相談してよい場合

  • 泣いたり泣きやんだりを繰り返しているが、間の時間はいつも通りに見える
  • 吐いたが、1〜2回で、そのあとは飲めている

この「相談」の窓口が、同じリーフレットに書かれている**♯8000(子ども医療電話相談。主に休日・夜間)です。119番通報の相談窓口である♯7119**も併記されています。

両手でスマートフォンを持って画面を操作している手元(顔は写っていない) 迷ったときに、まずかけられる番号があります(写真はイメージです)

ただし——**「泣いたり、けろっとしたり」が続いているなら、様子を見る側ではなく、相談する側に倒してください。**その谷は、病気が治った時間ではないからです。

そして、**受診したあとにも、覚えておいてほしいことが一つあります。**日本小児外科学会が書いています。

**整復後の再発は約10%**に見られ、整復したすぐ後に起こることが多いとされています。一方、いったんよくなった後しばらくして、再び腸重積を起こす場合もありますので、病気が起きた時のお子さんの症状を覚えておき再び腸閉塞が疑われる際にはすみやかに医療機関に相談してください.

**約10人に1人は繰り返します。**そして学会は、家族に対して「病気が起きた時のお子さんの症状を覚えておき」と、はっきり宿題を出しています。

一度この病気を経験したご家庭は、**そのときの泣き方・間隔・吐いた回数を、スマホのメモでも母子健康手帳の余白でもいいので残しておいてください。**次に同じことが起きたとき、それは家族だけが持っている情報になります。

8. 今回、書けなかったこと

この記事で書かなかったことも、正直に残しておきます。

  • 日本全国で年間何人が腸重積症になるか。参照したサーベイランスは全国9道県・1歳未満の入院例に限った調査で、しかも2019年の報告です。全国の年間発生数として使える数字ではありません
  • **腸重積症の救急搬送人員。**消防庁『救急救助の現況』に、この傷病名の区分はありません
  • 季節性。「夏に多い」「秋に多い」といった記述は、参照した公的資料にはありませんでした
  • **家庭でできる応急手当。**おなかをさする、温める、といった手当は、参照した資料に記載がありません。時間が治療法を分ける病気なので、家でできることを探すより、電話をかけるほうが早いです
  • **「何分泣いたら受診」という基準。**MSDの「15〜20分」は症状が続く典型的な長さの説明であって、受診の基準として書かれたものではありません
  • **年齢の範囲の断定。**日本小児外科学会は「3か月から2歳未満」、MSDマニュアル家庭版は「生後6カ月~3歳」としています。**どちらかが誤りなのではなく、資料によって幅があります。**年齢が外れているから違う、とは言えません
  • **『エビデンスに基づいた小児腸重積症の診療ガイドライン 改訂第2版』(日本小児救急医学会)の内容。**市販の書籍のため参照していません

まとめ

3行まとめ:

  • **傷病名は「腸重積症」。**腸が腸の中に、望遠鏡のようにすべり込む病気です。詰まるだけでなく、血が止まります
  • 「泣きやんだから大丈夫」が通じません。日本小児外科学会は「腹痛(不機嫌)はあったりなかったり(間欠的)するのが特徴」、MSDマニュアル家庭版は「症状がない間は比較的健康そうに見えます」と書いています。イチゴゼリー状の便は、早期のサインではなく進んだあとのサインです
  • 時間で治療が変わります。「かかったと思われる時間から24時間以内であれば、8割は」おなかを切らずに戻せます。だから救急隊は「いつから泣きだしましたか」を何度も聞きます

窓辺に置かれた、たたまれた小さな肌着とタオル 「いつもと違う」と感じたのが、いちばん確かな情報です(写真はイメージです)

厚生労働省は、5つの症状を並べたあとに、こう続けています。「いつもと様子が違うと感じた場合は、速やかに医療機関を受診させてください。

消防庁のリーフレットも、こども向けページの最後をこう締めています。「お母さんやお父さんから見て、いつもと違う場合、様子がおかしい場合」。

国の資料が二つとも、最後は保護者の感覚に委ねているのです。

赤ちゃんは、痛い場所を言えません。**「泣いたり、けろっとしたり」を数回繰り返した時点で、それはもう十分な情報です。**泣きやんだ谷の時間を、様子見の材料に使わないでください。

今日そろえておけるもの

高価な道具は要りません。今日の話に直接効くのは、この3つくらいです。

  • ベビー用体温計 — 「発熱がみられたりする場合もあります」はMSDが挙げている進行後の症状です。泣いている赤ちゃんの体温は、電話相談でも受診でも必ず聞かれます
  • 母子健康手帳ケース — ロタウイルスワクチンの種類と接種日が書いてあるのは母子健康手帳です。「接種から約1〜2週間」に当たるかどうかを、その場で言えるようにしておくと違います
  • おむつ用の防臭袋 — 便の色が診断の材料になります。**気になる便が出たおむつは、捨てずに袋に入れて持って行ってください。**言葉で説明するより確実です

関連記事として、同じ年齢の子どもの救急をまとめた夏休みの子ども救急 5つの場面、吐く・おなかが痛いで迷ったときの大人側の話としてBBQの翌日、お腹が痛い——「食あたり」で片づけてはいけない腹痛の見分け方、同じ「血が混じった便」が示すものとして「お腹は痛くない」と母は言った——真っ黒い便、子どもの誤飲・誤嚥で迷ったときの子どもの誤飲・誤嚥、家庭での予防と応急手当、そして「様子がおかしい」で呼ぶか迷う場面の判断として目の前でけいれんが始まったらもあわせてご覧ください。


本記事は一般的な情報提供であり、医療診断に代わるものではありません。実際の症状については必ず医療機関にご相談ください。

参考

⚠️ 免責事項この記事の情報は一般的な救急知識の情報提供を目的としており、医療行為や医療診断に代わるものではありません。症状がある場合は必ず医療機関を受診してください。生命の危機を感じる症状は、迷わず119番に通報してください。

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