秋祭りは、家族で楽しみにしている時間です。だからこそ、近くで誰かが転んだり、物にぶつかって頭を打ったりしたとき、周囲が最初にすることを知っておいてほしいと思います。
2026年10月には、祭礼中の事故が報じられています。今回は、秋祭りの会場で役立つ一般向けの解説です。実際の患者や搬送事案の再現ではなく、報道された事故の診断を推測するものでもありません。
先に覚えてほしいのは、周囲の安全を確かめる、必要なら119番へつなぐ、通報と誘導を分担するという3つです。
写真はすべてAI生成のイメージです。実際の会場・事故・患者を示すものではありません。
頭部外傷とは——外の傷だけで判断しない
頭部外傷は、転倒や衝突など、外から力が加わって起きる頭のけがです。頭皮の傷だけでなく、頭蓋骨や脳に損傷が生じる場合もあります。会場で見た目だけを確かめて、どこまで傷ついているかを決めることはできません。
脳振盪(のうしんとう)も、脳のけがの一つです。米国CDCの解説では、頭への衝撃のほか、体への衝撃で頭と脳が急に動くことでも起こると説明されています。「脳振盪なら軽いから、そのまま参加してよい」という意味にはなりません。
頭を打ったあとに、ぼんやりする、頭が痛い、吐き気がする、ふらつくといった変化があれば、参加を続けず医療者へ相談します。歩けるか試すために立たせたり、首を動かして確かめたりする必要はありません。
1.危険が続いていないかを確認する
まず、自分もけがをしない場所から状況を見ます。動いている物のそば、人が押し寄せる場所、車両が通る道では、周囲への声かけと主催者・係員への連絡が必要です。
ここからは、会場で助けを集めるための実務的な整理です。係員には「けがをした人がいる」「この通路を空けてほしい」と具体的に伝えます。救護所があれば応援を頼みますが、緊急の症状があれば救護所の到着を待ってから119番へ電話する必要はありません。
頭や首を痛めた可能性がある人を、混んでいるという理由だけで抱えて運んだり、歩かせたりしないでください。ただし、その場に火災や車両など差し迫った危険があるときは、安全確保が優先です。移動の必要性や方法に迷うときは、119番で状況を伝えて指示を受けます。

2.意識・呼吸・その後の変化を見て119番へ
呼びかけへの反応がない、受け答えがおかしい、けいれんしている、呼吸がおかしいときは、すぐ119番へ。英国NHSの頭部外傷の案内でも、意識が戻らない、けいれん、新たな脱力や言葉の異常などは緊急のサインです。日本では119番へつなぎ、会場で様子を見続けないでください。
厚生労働省の119番の案内では、子どもが頭を強くぶつけて意識がない、けいれんがある、出血が止まらないときなどを救急要請の目安として示しています。
子どもについては、CDCの頭部打撲後の危険サインにも、繰り返す嘔吐、悪化して続く頭痛、混乱、起こせないほどの眠気、手足の脱力などが挙がっています。こうした変化を「疲れただけ」と決めず、直ちに救急につないでください。
反応がなく、普段どおりの呼吸がない、または呼吸の判断に迷う場合は、119番の指令員の案内に従って胸骨圧迫を始め、周囲にAEDを頼みます。首の心配があっても、心肺蘇生が必要な状態では救命処置が優先です。消防庁の応急手当WEB講習で、日頃から手順を学べます。

首が痛い、手足がしびれるとき
消防機関の応急手当案内は、強い衝撃による頭や顔のけがでは、首の骨を痛めている可能性に注意を促しています。意識がはっきりしているなら、自分で頭を動かさないよう伝えます。首の痛みや手足のしびれ・脱力も119番で伝えてください。
首を回して動きを試さず、医療者の評価を待ちます。対応に迷うときは、119番の指令員に今の状態を伝えてください。首の安静については、頭を打って首が痛かった事案の記事でも取り上げています。




