嘔吐が続き、発熱したという連絡で、私たちは80代後半の男性のもとに向かいました。私たちが接触したときには、横になったまま、呼びかけに対する反応が鈍くなっていました。病院の初診時の傷病名は「誤嚥性肺炎」でした。
吐いて熱があると、胃腸の調子だけに目が向きやすくなります。この事案で私たちが見ていたのは、嘔吐に加えて、反応や呼吸、血の巡りにも変化がないかでした。何を現場で確認したのかと、家庭でどんな変化を見たら助けを呼ぶのかを分けてお伝えします。

写真はすべてAI生成のイメージです。ご本人や実際の施設・活動を再現していません。
現場では、嘔吐の回数だけを見ていませんでした
出動時に把握した概要の一部です。時刻や場所などを含む前後を省きました。電話口での逐語引用ではありません。
[前略]嘔吐が続いており、発熱しているもの。[後略]
吐き始めた場面を私たちは見ていません。私たちが接触したとき、顔には嘔吐したものが付いていて、手足は冷たく、血圧も低めでした。呼吸音を聴くと、両側で普段とは違う音を確認しました。反応が鈍く、血の巡りにも変化があると考え、私たちは酸素を投与し、医師に指示を仰いで点滴を行いながら搬送しました。
男性には糖尿病と認知症などの持病がありました。普段の受け答えと、急に反応が悪くなったことを分けて考える手がかりになります。持病が今回の原因だったと判断したわけではありません。初診時の傷病名は誤嚥性肺炎でしたが、何がいつ気道に入ったかや、その後の詳しい経過は確認できていません。

誤嚥性肺炎と、食べ物が詰まる窒息は別
誤嚥とは、口に入れたものや唾液などが、食道に進む代わりに気道へ入り込むことです。誤嚥性肺炎は、誤嚥に伴って口の中の細菌などが肺に入り、肺炎を起こすものです。食べ物で気道がふさがる窒息とは区別します。窒息はその場で息ができなくなる緊急事態です。誤嚥性肺炎では、発熱、痰、咳、息苦しさなどが現れることがあります。
厚生労働省の介護現場の感染対策資料では、年齢などで咳の反射が弱い場合、はっきりむせずに唾液を誤嚥することもあると説明しています。ただし「高齢者が吐いたら誤嚥性肺炎」でも、「むせていないから肺炎ではない」でもありません。この男性についても、私たちが見た嘔吐の跡から、肺炎が起こった順序や仕組みまでは決められません。
熱や嘔吐に加えて、受け答え・息づかい・普段との違いを確かめます。





