嘔吐と発熱のあと、呼びかけへの反応が鈍かった|80代男性の誤嚥性肺炎
家庭救急

嘔吐と発熱のあと、呼びかけへの反応が鈍かった|80代男性の誤嚥性肺炎

嘔吐と発熱が続いた80代後半の男性。私たちが確認した反応や呼吸の変化と、病院での初診時の傷病名「誤嚥性肺炎」を分けて紹介します。

嘔吐が続き、発熱したという連絡で、私たちは80代後半の男性のもとに向かいました。私たちが接触したときには、横になったまま、呼びかけに対する反応が鈍くなっていました。病院の初診時の傷病名は「誤嚥性肺炎」でした。

吐いて熱があると、胃腸の調子だけに目が向きやすくなります。この事案で私たちが見ていたのは、嘔吐に加えて、反応や呼吸、血の巡りにも変化がないかでした。何を現場で確認したのかと、家庭でどんな変化を見たら助けを呼ぶのかを分けてお伝えします。

椅子に腰掛ける架空の80代後半男性のAI生成イメージ

写真はすべてAI生成のイメージです。ご本人や実際の施設・活動を再現していません。

現場では、嘔吐の回数だけを見ていませんでした

出動時に把握した概要の一部です。時刻や場所などを含む前後を省きました。電話口での逐語引用ではありません。

[前略]嘔吐が続いており、発熱しているもの。[後略]

吐き始めた場面を私たちは見ていません。私たちが接触したとき、顔には嘔吐したものが付いていて、手足は冷たく、血圧も低めでした。呼吸音を聴くと、両側で普段とは違う音を確認しました。反応が鈍く、血の巡りにも変化があると考え、私たちは酸素を投与し、医師に指示を仰いで点滴を行いながら搬送しました。

男性には糖尿病と認知症などの持病がありました。普段の受け答えと、急に反応が悪くなったことを分けて考える手がかりになります。持病が今回の原因だったと判断したわけではありません。初診時の傷病名は誤嚥性肺炎でしたが、何がいつ気道に入ったかや、その後の詳しい経過は確認できていません。

洗面器とティッシュを置いた室内のAI生成イメージ

誤嚥性肺炎と、食べ物が詰まる窒息は別

誤嚥とは、口に入れたものや唾液などが、食道に進む代わりに気道へ入り込むことです。誤嚥性肺炎は、誤嚥に伴って口の中の細菌などが肺に入り、肺炎を起こすものです。食べ物で気道がふさがる窒息とは区別します。窒息はその場で息ができなくなる緊急事態です。誤嚥性肺炎では、発熱、痰、咳、息苦しさなどが現れることがあります。

厚生労働省の介護現場の感染対策資料では、年齢などで咳の反射が弱い場合、はっきりむせずに唾液を誤嚥することもあると説明しています。ただし「高齢者が吐いたら誤嚥性肺炎」でも、「むせていないから肺炎ではない」でもありません。この男性についても、私たちが見た嘔吐の跡から、肺炎が起こった順序や仕組みまでは決められません。

熱や嘔吐に加えて、受け答え・息づかい・普段との違いを確かめます。

架空の高齢男性と家族役の人が話すAI生成イメージ

返事がはっきりしないときは、飲ませて試さない

呼びかけに反応しない、急に受け答えが悪くなった、息が明らかに苦しそうなときは119番。意識がはっきりしない人に、水や薬を無理に飲ませないでください。

反応がなく、普段どおりの呼吸がない、またはよく分からないなら、119番でそのまま伝え、指示に従って胸骨圧迫を始めます。反応がなくても普段どおりの呼吸がある場合は、通報先の指示に従って横向きにし、呼吸の変化を見守ります。消防庁の応急手当講習で案内している手順です。

「熱が何度になったら呼ぶ」と決めるより、普段なら名前を呼ぶと目を開ける人が今日は開けない、普段なら話せる人が言葉を返せない、という変化を見ます。熱や酸素の数字が測れなくても、目の前で見た反応と息づかいは伝えられます。測り直したり、薬の名前を調べたりするために、通報を遅らせる必要はありません。

電話で助けを呼ぶ場面を示す手元のAI生成イメージ

通報したら、場所と今の様子を先に伝えます。余裕があれば、最後に普段どおり会話できた時点、吐き始めた時点、発熱に気づいた時点を、分かる範囲で付け加えます。たとえば「吐いたのは見ましたが、いつからかは分かりません」と言えば、見たことと知らないことを区別できます。ご本人が普段から話すのが難しい場合は、ふだんの返事や目線との違いを伝えると状況が伝わりやすくなります。

反応も呼吸も普段どおりに見えても、高齢の方で吐くことを繰り返したり発熱が続いたりしていれば、早めにかかりつけなどへ相談します。受診の緊急度で迷うときは、使える地域なら救急相談も選択肢です。途中で反応や呼吸が悪くなったときは相談を続けるより先に119番です。

普段は食事中の変化と口のケアを相談する

洗面台に置いた歯ブラシとタオルのAI生成イメージ

食事のたびにむせる、飲み込んだ後に声が変わる、食べ終わるまで以前より時間がかかる。こうした変化に気づいたら、食べ物の種類や時間帯を添えて、かかりつけ医や歯科、介護を担当する人に相談しておきます。食事形態や介助の仕方を一律に決めず、その方の飲み込みの状態に合わせて専門職と考えます。

国立長寿医療研究センターの口腔ケア外来は、口腔ケアを誤嚥性肺炎予防の一つに挙げています。歯や入れ歯の手入れを日常に組み込み、口のケアでむせる場合は、安全なやり方を個別に教わってください。家での備えとして、普段飲んでいる薬や相談先を一枚にまとめておくと、体調が変わったときにも役立ちます。

落ち着いている日に、普段の食べ方・受け答え・相談先を家族や支援者と共有しておきます。

普段の飲み込み方を相談するときは、「最近むせます」だけでもきっかけになります。もう少し伝えられるなら、汁物や水のような液体で起きるのか、固いものを食べたときなのか、食事の初めと終わりで違うのかを、無理に試さず、いつもの生活で見えた範囲で伝えます。食べられた量や体重の変化が気になるなら、それも一緒に相談できます。

家族と支援者が別々の時間に関わっていると、一人だけでは変化の始まりに気づきにくいことがあります。食事中に気になったことや、いつもより返事が短かったことなどを一言共有しておくと、次に会う人が普段との違いを見やすくなります。急に反応が変わった場面では、そのメモを探すよりも、目の前の様子を見て通報することを優先します。

今回の男性では、嘔吐と熱に加えて反応が鈍く、私たちは呼吸と血の巡りも確認して対応しました。家庭では原因まで決める必要はありません。「吐いた」だけで話を終えず、呼びかけへの返事と息づかいがいつもと違うかを見て、必要なときは助けを呼んでください。

⚠️ 免責事項この記事の情報は一般的な救急知識の情報提供を目的としており、医療行為や医療診断に代わるものではありません。症状がある場合は必ず医療機関を受診してください。生命の危機を感じる症状は、迷わず119番に通報してください。

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