脱水というと真夏の熱中症を思い浮かべやすいですが、寒い時期も注意が必要です。暖房した室内で過ごし、のどの渇きを感じにくかったり、トイレを気にして飲む量を減らしたりすると、水分不足が進むことがあります。発熱、嘔吐、下痢、食欲低下が重なると、さらに水分を失いやすくなります。
この記事は特定の患者や搬送事案を再現したものではありません。架空の経過を作らず、厚生労働省などの公開資料をもとに、家族が観察するポイントをまとめた一般解説です。
実際の患者や住居ではない公開用イメージです。
脱水は「入る水」と「出る水」のバランスが崩れた状態
厚生労働省の介護学習資料は、脱水を体内の水分量が正常より低下した状態と説明しています。原因として、下痢、嘔吐、発熱、発汗、水分摂取量の低下などを挙げています。
高齢者では、のどの渇きを感じにくい、食事量が減っている、自分で飲み物を用意しにくい、むせを心配して飲む量を抑えているなど、複数の事情が重なることがあります。
暑くないから脱水ではない、と決めないことが大切です。気温だけでなく、飲めた量、食べられた量、尿、意識や反応の変化を一緒に見ます。

家庭で見る5つの変化
1.尿の回数や量が減っていないか
普段よりトイレの回数が少ない、尿量が明らかに減った、色が濃い状態が続くなどは、水分不足を考える手掛かりになります。ただし、薬や腎臓・心臓の病気でも尿量は変わるため、一つの所見だけで脱水と断定しません。
2.口や唇が乾いていないか
唇や口の中の乾燥は、厚生労働省の資料でも脱水の症状として挙げられています。口が乾く、舌が乾いている、飲み込みにくそうなど、普段との違いを見ます。

3.元気、会話、反応が変わっていないか
元気がない、ぼんやりする、うとうとする、質問への返答が遅いなどの変化も見逃せません。「高齢だから」「眠いだけ」と決めず、いつから、どの程度変わったかを家族で共有します。
迷わず119番を考えるサイン
- 呼びかけても反応がない、または反応が明らかに悪い
- 普段どおりの呼吸ではない、息が苦しそう
- 立てない、倒れた、けいれんしている
- 水分が取れず、意識がはっきりしない
これらは脱水だけで起きる症状ではありません。脳卒中、感染症、心臓病など別の緊急疾患も考える必要があります。原因を家庭で決めようとせず119番へ連絡し、通信指令員の質問に答えます。

発熱・嘔吐・下痢があるときは経過を短く記録する
体から水分が出ていく症状と、飲食量の低下が同時に起きると脱水が進みやすくなります。何時ごろから、何回吐いたか、下痢の回数、飲めた量、尿の有無、体温、いつもの持病や薬を、分かる範囲でまとめます。
「水分を取ったか」だけでなく、「飲んだ後に吐かず保てたか」「尿が出たか」まで確認します。

反応が保たれ少量ずつ飲める場合は、一度に大量ではなく、無理のない量をこまめに取ります。むせる、飲み込めない、何度も吐く、意識がはっきりしない場合は、無理に口から飲ませません。




