救急車を待つ間、何をする?|呼吸を見ながら玄関・薬・誘導を準備
119の判断

救急車を待つ間、何をする?|呼吸を見ながら玄関・薬・誘導を準備

119番通報後、救急車を待つ間に家族ができることを整理。通信指令員の指示、呼吸と反応の観察、玄関の確保、薬と保険証、誘導、救急隊へ伝える変化を解説します。

119番へ電話したあと、「救急車が来るまで何をすればいいのか」と不安になることがあります。荷物を探すべきか、外へ迎えに行くべきか、傷病者を動かしてよいのか。慌てる場面ほど、優先順位を知っていると動きやすくなります。

この記事は特定の患者や搬送事案を再現したものではありません。架空の経過を作らず、総務省消防庁の公開資料をもとに、119番通報後から救急隊へ引き継ぐまでの一般的な行動をまとめます。

開いた玄関から救急隊を誘導する準備のイメージ 公開用のイメージ写真です。実際の患者、住居、救急活動を再現したものではありません。

最優先は、電話を切らず指令員の指示を聞くこと

119番につながると、通信指令員が住所、誰がどうしたか、反応や呼吸などを順に確認します。緊急性が高い場合は、すべてを聞き終える前でも救急車は出動します。

荷物をそろえる前に、指令員の質問と口頭指導を優先します。胸骨圧迫や気道異物除去などが必要な場合、電話越しに方法を案内されることがあります。

スマートフォンで119番通報を続けるイメージ

スピーカー機能を使えるなら、両手を空けて指示を聞けます。ただし操作に慣れておらず時間がかかる場合は、無理に切り替えず指令員へ伝えてください。通報で聞かれる内容は119番で聞かれる7つのことに整理しています。

呼吸と反応を見続ける

通報時に会話できていても、待っている間に状態が変わることがあります。名前を呼ぶと目を開けるか、普段どおりに呼吸しているか、顔色が急に悪くなっていないかを見ます。

待っている間に、すぐ119番へ伝える変化

  • 呼びかけへの反応がなくなった
  • 普段どおりの呼吸ではない、呼吸が止まった
  • 顔色やくちびるの色が急に悪くなった
  • けいれん、激しい出血、急な悪化が起きた

反応がなく、普段どおりの呼吸がない、または判断できないときは、指令員の案内に従い胸骨圧迫を始めます。呼吸があるかを長時間確かめ続けたり、脈を探すことだけに時間を使ったりしません。

廊下から傷病者のいる部屋までの動線を確保するイメージ

倒れた原因が分からないときに、無理に起こしたり歩かせたりしません。交通事故や転落などで首や背中を痛めている可能性がある場合も、危険が迫っている場合を除き、自己判断で大きく動かさず指示を待ちます。

心肺蘇生については普段どおりの呼吸がないときの判断と街中でAEDを探して使う手順も確認してください。

人手があれば、玄関と通路を確保する

応急手当をする人とは別に家族がいる場合、玄関の鍵を開け、玄関から傷病者までの通路を確保します。消防庁の案内は、救急車の音が近づいたら案内に出て誘導すると、到着が早くなると説明しています。

誘導に出るのは、応急手当をする人とは別の人がいる場合です。傷病者を一人にしてまで外へ出る必要はありません。

玄関で救急隊を迎えるため扉を開けたイメージ

集合住宅では建物名、入口、部屋番号、オートロックの開け方を伝えます。夜間は玄関や廊下の照明をつけ、ペットが飛び出したり救急隊の動線へ入ったりしないよう安全な場所へ移します。大きな家具を動かすなど危険な作業はしません。

保険証より先に、薬と病歴を分かる範囲でまとめる

消防庁のリーフレットは、救急車を呼んだときに用意する物として、マイナ保険証または資格確認書、診察券、お金、靴、普段飲んでいる薬、お薬手帳などを挙げています。乳幼児では母子健康手帳、紙おむつ、ほ乳瓶、タオルも例示されています。

薬やお薬手帳の情報を確認するイメージ

ただし、すべてを完璧にそろえるまで救急隊を待たせる必要はありません。まず傷病者のそばで呼吸と反応を見ます。余裕と人手がある範囲で、次の情報を一つにまとめます。

  • 持病
  • かかりつけ医療機関
  • 服用中の薬と最後に飲んだ時刻
  • アレルギー
  • 症状が始まった時刻
  • 直前までの様子
  • 行った応急手当

薬は名前を書き写すより、袋・お薬手帳・実物をまとめる方が伝えやすい場合があります。ただし大量の薬を整理し直す作業はせず、普段使っている物をそのまま準備します。

救急時に持ち出す薬とお薬手帳も合わせて確認してください。

「いつから」と「どう変わったか」を一行で残す

救急隊が到着してから見られるのは、その時点の状態です。家族しか知らないのは、その前の変化です。「朝は普通に会話していた」「10分前に胸痛を訴えた」「通報後に返事がなくなった」のように、時刻と変化を短く伝えます。

時計を見て発症時刻を確認するイメージ

脳卒中や心臓病などでは、発症時刻が治療の判断に関わることがあります。正確な時刻が分からなければ、最後に普段どおりだった時刻を伝えます。「分からない」ことを推測で埋めません。

救急隊が来たら、次の順で伝えると整理しやすくなります。

  1. 何が起きて119番したか
  2. いつからか、最後に普通だったのはいつか
  3. 通報後にどう変化したか
  4. 行った応急手当
  5. 持病、薬、アレルギー

やってはいけないこと

意識がはっきりしない人へ、水、食べ物、薬を無理に飲ませないでください。
むせたり、吐いた物が気道へ入ったりする危険があります。自己判断で薬を追加せず、指令員や救急隊へ状況を伝えます。

また、緊急時に次の行動を優先しません。

  • 病名を家族だけで決める
  • 入院用品を完璧にそろえる
  • 自家用車へ無理に乗せ替える
  • 本人を歩かせて玄関へ移動する
  • 保険証や印鑑を探すため傷病者を一人にする
  • 写真や動画の撮影を優先する

必要な応急手当が分からないときは、電話を切らず指令員へ聞きます。救急車を呼ぶか迷っている段階なら#7119とQ助の使い分けも参考になります。ただし、意識や呼吸がおかしい場合は相談窓口を待たず119番です。

家族で平時に決めておく4つ

緊急時に初めて探す物を減らすため、普段から次の4点だけ共有します。

  1. 自宅の正確な住所と目印
  2. お薬手帳と保険証の置き場所
  3. 玄関の鍵、オートロック、ペットの対応
  4. 近くのAEDの場所

メモ帳へ家族の病歴と連絡先を書くイメージ

冷蔵庫や電話の近くへ、住所、持病、薬、緊急連絡先を書いた紙を置いておくと、通報時に読み上げられます。氏名や医療情報を外から見える場所へ貼らず、家族が分かる保管方法にします。

まとめ:待つ時間にも優先順位がある

救急車を待つ間は、次の順に動きます。

  1. 電話を切らず指令員の指示を聞く
  2. 呼吸と反応を見続け、変化を伝える
  3. 人手があれば玄関と通路を確保し誘導する
  4. 薬、お薬手帳、保険証、靴を準備する
  5. 発症時刻と待っている間の変化を救急隊へ伝える

荷物より、目の前の人の呼吸と反応が先です。準備は人手と余裕がある範囲で行い、状態が変わったらすぐ指令員へ伝えてください。

参考にした公的資料

2026年10月25日確認。

※本記事は一般的な情報提供で、診断や個別の治療指示ではありません。目の前の状態が悪い、急に変化した、判断できない場合は119番へ連絡し、通信指令員の指示に従ってください。

⚠️ 免責事項この記事の情報は一般的な救急知識の情報提供を目的としており、医療行為や医療診断に代わるものではありません。症状がある場合は必ず医療機関を受診してください。生命の危機を感じる症状は、迷わず119番に通報してください。

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この記事の執筆・監修

現役救命士 hiro

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