子どもの発熱、何を見て119番?|体温だけで決めず呼吸・意識・水分を見る
家族を守る

子どもの発熱、何を見て119番?|体温だけで決めず呼吸・意識・水分を見る

子どもが発熱したとき、体温の数字だけでなく、呼吸・意識・水分摂取・顔色などをどう見るか。119番を急ぐサインと、休日夜間に迷ったときの#8000を公的資料に沿ってまとめます。

子どもが夜中に熱を出すと、体温計の数字に目が向きます。39度、40度と表示されれば、不安になるのは当然です。

ただ、救急の緊急度は体温の数字だけでは決まりません。呼吸、意識、顔色、水分が取れているか、けいれんの有無など、全身の様子を合わせて見ます。

この記事は実在の救急事案をもとにしたものではありません。架空の患者や搬送経過も作らず、総務省消防庁と厚生労働省の公的資料に沿って、家庭で観察するポイントを整理した一般的な解説です。

子どもの体調を見守る家族のイメージ 公開用のイメージ写真です。実際の患者や家族を再現したものではありません。

発熱とは「体温が上がっている状態」

発熱は、感染症などに対する体の反応として体温が上がっている状態です。原因は一つではなく、体温の高さだけで病名や重症度を決めることはできません。

家庭では「何度あるか」を記録しつつ、平熱との差、いつから上がったか、解熱剤を使ったか、食事や水分、尿の回数、普段との違いも見ます。

重要なのは、熱が高いか低いかだけでなく、呼びかけに反応するか、呼吸が苦しくないか、水分が取れるかです。

体温や経過をノートに記録するイメージ 時間、体温、水分、尿、薬を一緒に残すと、相談時に伝えやすくなります。

迷わず119番を考えるサイン

総務省消防庁の救急車利用リーフレットは、子どもで次のような状態を「すぐに119番」の目安として挙げています。

  • 意識がない、返事がない、もうろうとしている
  • くちびるが紫色、顔色が明らかに悪い
  • 激しい咳やゼーゼーがあり、呼吸が苦しそう
  • 呼吸が弱い
  • けいれんしている、手足が硬直している
  • 激しい嘔吐や下痢で水分が取れず、意識がはっきりしない
  • 乳児の様子が明らかにおかしい

このような場合は、体温を何度も測り直したり、相談窓口の開始時刻を待ったりせず、119番です。迷うときでも、呼吸が苦しそう、反応がおかしい、顔色が悪いという変化を優先します。

電話で119番をするイメージ 緊急性が高いサインがあるときは、ためらわず119番へ。

119番では、住所、子どもの年齢、呼吸と意識の状態、けいれんの有無、いつからどう変化したかを順に伝えます。通報で伝える内容は119番で伝える7つのことにもまとめています。

けいれんしたら、押さえつけず時間を見る

発熱中にけいれんが起きることがあります。口に指や物を入れたり、体を強く押さえつけたりしません。周囲の危険物をどけ、衣服をゆるめ、可能なら顔を横に向けます。

同時に、けいれんが始まった時刻を確認します。呼吸がない、顔色が悪い、長く続く、繰り返す、初めてで判断できないなど、心配な状態では119番へ連絡してください。

安全な場所で子どもを見守るイメージ けいれん時は口に物を入れず、安全確保と時間の確認を優先します。

詳しい初動はけいれんを目撃したときの初動で説明しています。

水分は「飲ませた量」より「飲めているか」

熱があると汗や呼吸で水分を失いやすくなります。意識がはっきりしていて自分で飲めるなら、一度に大量ではなく、少量ずつ試します。

一方、意識がはっきりしない、むせる、繰り返し吐く場合は、無理に口から飲ませません。誤嚥する危険があるためです。尿が極端に少ない、口が乾いている、泣いても涙が出ない、ぐったりするなども、早めに相談・受診を考える材料です。

持病、定期薬、アレルギー、直近に飲ませた薬がある場合は、母子健康手帳やお薬手帳を準備します。救急時に持ち出す薬とお薬手帳も確認してください。

緊急サインがなく判断に迷うなら#8000

厚生労働省の子ども医療電話相談 #8000は、休日・夜間に、子どもの急な症状への対処や受診について、小児科医師・看護師へ相談できる全国共通の短縮番号です。利用時間は地域で異なります。

電話では、年齢、体温、いつからの発熱か、呼吸、意識、水分、尿、発疹、嘔吐や下痢、けいれん、持病と薬を伝えられるようにしておきます。

相談内容を整理する家族のイメージ 電話の前に観察項目をメモすると、短時間で伝えやすくなります。公開用AI生成イメージです。

地域によっては#7119も利用できます。相談窓口の使い分けは救急車を呼ぶか迷ったときの#7119とQ助をご覧ください。ただし、意識や呼吸がおかしいときは相談より119番を優先します。

家庭で準備しておくと伝えやすいこと

  • 平熱と今回の最高体温
  • 発熱が始まった時刻
  • 水分を取れた時刻と量
  • 最後に尿が出た時刻
  • 嘔吐、下痢、発疹、咳、痛みの有無
  • 使用した薬の名前、量、時刻
  • 持病、アレルギー、かかりつけ医

すべてを完璧にそろえる必要はありません。緊急サインがあれば記録より119番を優先し、分かる範囲で答えます。

まとめ:数字より、目の前の子どもを見る

発熱時は、体温計の数字だけに集中しないことが大切です。

  1. 呼吸は苦しそうでないか
  2. 呼びかけへの反応は普段どおりか
  3. 顔色やくちびるの色は悪くないか
  4. 水分が取れ、尿が出ているか
  5. けいれんや繰り返す嘔吐がないか

意識、呼吸、顔色に異常があれば119番。緊急サインはないが休日・夜間で迷うなら#8000。普段の様子を知る家族の「いつもと違う」は、大切な情報です。

相談するときは「変化」を伝える

医療職に相談するとき、「熱があります」だけでは状態をつかみにくいことがあります。「夕方から熱が上がった」「1時間前までは水を飲めたが、今は飲めない」「名前を呼ぶと目を開けるが、すぐ眠る」のように、時間と変化を組み合わせて伝えます。

呼吸については、回数を正確に数えられなくても、「肩で息をしている」「胸やみぞおちが呼吸のたびにへこむ」「会話や泣き声が続かない」など、見えた様子をそのまま伝えて構いません。顔色、くちびるの色、手足の冷たさも役立つ情報です。

薬を飲ませた場合は、薬の名前が分からなければ箱や袋を手元に置きます。体重、最後に食べた時刻、周囲に同じ症状の人がいるかも、聞かれたら答えられる範囲で十分です。

待っている間も状態は変わる

#8000や医療機関へ相談したあとでも、呼吸や意識が悪化したら、最初の助言に固執せず119番へ切り替えます。相談時に大丈夫そうでも、その後に状態が変わることはあります。

救急車を待つ間は、玄関の鍵を開け、保険証や母子健康手帳、薬をまとめます。ただし子どもを一人にせず、呼吸と反応を見続けてください。吐いたときは仰向けのままにせず、可能なら顔を横に向けます。呼吸がなくなった、普段どおりの呼吸でない場合は、119番の指令員の案内に従って心肺蘇生を始めます。

参考にした公的資料

※本記事は一般的な情報提供であり、診断や治療の代わりではありません。目の前の状態が悪い、判断に迷う、急に変化した場合は、119番または医療機関へ相談してください。

⚠️ 免責事項この記事の情報は一般的な救急知識の情報提供を目的としており、医療行為や医療診断に代わるものではありません。症状がある場合は必ず医療機関を受診してください。生命の危機を感じる症状は、迷わず119番に通報してください。

関連記事

夏休みの子ども救急 5つの場面——プール・自転車・熱中症・誤飲・虫刺され、救命士が伝える119の判断ライン
家族を守る

夏休みの子ども救急 5つの場面——プール・自転車・熱中症・誤飲・虫刺され、救命士が伝える119の判断ライン

続きを読む →
「朝、起きられない」は怠けではありません——ただし“運動中に倒れた”だけは、まったく別の話として扱ってください
家族を守る

「朝、起きられない」は怠けではありません——ただし“運動中に倒れた”だけは、まったく別の話として扱ってください

続きを読む →
「ちょっとすりむいただけです」——傷は小さいのに、痛みだけが強い。傷病名は「壊死性筋膜炎」でした
家族を守る

「ちょっとすりむいただけです」——傷は小さいのに、痛みだけが強い。傷病名は「壊死性筋膜炎」でした

続きを読む →

記事内容に誤りを発見された場合はこちらからご連絡ください(訂正依頼を選択してください)

現役救命士 hiro のアバター

この記事の執筆・監修

現役救命士 hiro

救急の現場から、家族を守るための情報を発信しています

患者さんとご家族のプライバシーを守るため、本名・所属・勤務地域は公開していません。 記事は総務省消防庁・厚生労働省などの公的な一次資料の原文を確認したうえで書き、 出典は各記事の末尾にすべて記載しています。

運営者・監修者について →