【震度7】救命士が伝える「扉は開ける、火事のときだけ閉める・スリッパ・熱中症」——地震のあと家族を守る初動と応急手当、災害関連死を防ぐ72時間
家族を守る

【震度7】救命士が伝える「扉は開ける、火事のときだけ閉める・スリッパ・熱中症」——地震のあと家族を守る初動と応急手当、災害関連死を防ぐ72時間

2026年7月28日16時27分、熊本県熊本地方で最大震度7の地震が発生。救急救命士が、地震のときは「扉を開けて逃げ道を確保」・火事のときだけ「扉を閉めて逃げる」という区別、今夜すぐできる「スリッパを置く」、夏の被災地の熱中症対策を中心に、初動と応急手当、災害関連死を防ぐ知識を一次資料に基づいて整理します。

2026年7月28日16時27分ごろ、熊本県熊本地方を震源とする地震が発生しました。気象庁の発表によると規模はマグニチュード7.1、震源の深さは約10km。宇城市・氷川町で最大震度7が観測され、16時29分には有明・八代海沿岸に津波注意報が発表されています。

そしていま、余震が続いています。この記事を書いている時点でも、震度5弱を含む地震が繰り返し起きています。

この記事は、救急救命士として現場に立ってきた私が、いま、あなたの家族を守るために知っておいてほしいことを、実行できる順番で書いたものです。すべて、気象庁・消防庁・内閣府・厚生労働省・各学会の公開資料で確認した内容に絞っています。

先に一つだけ、いちばん大事なことを書きます。

大きな地震で亡くなる方の多くは、揺れそのものではなく、そのあとの避難生活で亡くなっています。

2016年の熊本地震では、亡くなった270人のうち、検視により死亡が確認された方が50人。これに対して**「災害関連死」と認定された方は215人でした(内閣府資料、平成31年3月13日時点)。2024年の能登半島地震でも、死者・行方不明者594名のうち364名が災害関連死**です(令和7年版防災白書)。

災害関連死とは、内閣府の定義でこう書かれています。

当該災害による負傷の悪化又は避難生活等における身体的負担による疾病により死亡し、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき災害が原因で死亡したものと認められたもの

つまり、揺れを生き延びたあとに、避難生活のなかで亡くなるということです。そしてこれは、知識と行動で防げる可能性がある。ここが、私がいちばん伝えたいところです。

慌てなくて大丈夫です。順番にいきましょう。

開いた救急バッグに包帯や消毒液が整理して収められている 救急バッグの中身は「特別なもの」ではない。家にあるもので代わりになるものが、実はかなりある


① 発生直後(0〜30分):家族を守る5つの初動

初動1|まず頭を守る。動くのは揺れがおさまってから

余震はこれからも来ます。次に大きく揺れたときの行動を、いま決めておいてください。

気象庁は、地震のときの心得をこう書いています。

あわてず、まず身の安全を確保 頭部を保護し、丈夫な机の下など安全な場所に避難する あわてて外へとびださない

消防庁も「座ぶとんなどが身近にあれば、頭部を保護する」とし、「大揺れは1分程度でおさまる」としています。この1分をどうやり過ごすか、という話です。

  • 姿勢を低くする
  • 頭と体を守る——机の下、なければクッション・座布団・カバンでも
  • 揺れがおさまるまでその場で動かない

机の下に入れたら、机の脚を持ってください。揺れで机ごと動いてしまうからです。

寝ているときに揺れたら、布団や枕で頭を覆ってやり過ごす。

エレベーターの中にいたときは、気象庁の記載どおり「最寄の階に停止させ、すぐに降りる」。全部の階のボタンを押してください。

そして——扉を開けて、逃げ道を確保する

これは、この記事でいちばん誤解されやすいところなので、はっきり書きます。

消防庁の「地震だ!その時どうする?」には、身の安全を確保する行動としてこう書かれています。

(2)非常脱出口の確保 揺れを感じたら、玄関などの扉を開けて非常脱出口を確保しましょう

地震のときは、扉を開けます。

理由は、建物が歪むからです。強い揺れを受けると、家屋やマンションの躯体がわずかに変形します。すると玄関ドアやサッシがフレームに噛んでしまい、開かなくなることがある。実際、過去の震災では「ドアが開かず室内に閉じ込められた」という事例が繰り返し起きています。

火が出ていなくても、余震で建物がさらに傷んでも、出口が確保されていれば逃げられます。

やること

  • 玄関のドアを開ける(いちばん優先)
  • ベランダに出られる掃き出し窓・サッシを開ける
  • 引き戸も、歪んで動かなくなる前に開けておく
  • 開けたら、閉まらないようにストッパーや荷物でおさえる(余震で閉まると意味がなくなります)

ただし——揺れている最中に、無理に玄関へ走らないでください。 消防庁の文言は「揺れを感じたら」ですが、気象庁は「あわてて外へとびださない」「まず身の安全を確保」としています。身を守るのが先、扉はそのすぐあと。

現場の感覚で言えば、こうです。手を伸ばせば届く場所に扉があるなら、その場で開ける。届かないなら、揺れがおさまってすぐ開けにいく。

【重要】扉は「開ける」のか「閉める」のか——混同しないでください

このあと火災のセクションで「ドアを閉めて逃げる」と書きます。真逆に見えるので、ここで整理しておきます。場面がまったく違います。

状況 扉は なぜ
地震が起きた(火は出ていない) 開ける 建物が歪んで開かなくなり、閉じ込められるのを防ぐため
火災が発生した/その場から逃げる 閉める 空気を遮断して炎の勢いを押さえ、煙の拡散を防ぐため

基本は「開ける」。火が出たときだけ「閉める」。

言い換えると、こうです。

開けておくのは「まだ逃げていないとき」。 閉めるのは「いま、そこから逃げ出す瞬間」。

地震のあと開けておいた玄関ドアも、火災が起きて実際に避難するときには、通り抜けたあとで閉めてください。矛盾していません。逃げ道を確保しておく段階と、逃げ切る瞬間の違いです。


【最優先】いま準備できることが1つだけなら——スリッパを置いてください

ここは、公的資料の引用ではありません。救急救命士として現場で見てきたことから、私がいちばん強く言いたいことです。

余震が続いているいま、今夜のうちに枕元と玄関にスリッパ(サンダル・室内履きでも可)を置いてください。

理由は単純です。

地震のあと、家の床は「見えない刃物」だらけになります。

食器棚が開いて皿が落ちる。窓ガラスにひびが入る。花瓶や照明のカバーが割れる。テレビや本棚が倒れる。そのすべてが、細かい破片になって床一面に散ります。しかも、暗い。停電していれば、何も見えません。

そして——いまは夏です。家の中では、素足の方が非常に多い。

これが、私がいちばん心配していることです。

素足で踏むと、どうなるか

ガラス片の傷は、見た目が小さくても侮れません。

  • 足の裏は、体重がかかるので出血が多くなりやすい
  • 深く刺さると、腱や神経に届くことがある
  • 破片が中に残ったまま塞がってしまうことがある(あとで化膿します)
  • そして何より——足を怪我すると、逃げられなくなります

避難したくても歩けない。荷物を運べない。介助が必要な家族を支えられない。たった一枚の破片で、家族全員の避難が止まります。

災害医療の現場では、これは「防げたはずの受傷」です。

断水しているときは、もっと深刻です

平時なら、切り傷は水道水でしっかり洗い流せます。でも断水していると、それができません

汚れた床の破片で切った傷を、洗えないまま何日も過ごす。夏の暑さのなか、避難所や車の中で。これは感染を起こしやすい条件がそろっています

厚生労働省の避難所向けリーフレットが「土足厳禁を徹底」を挙げているのも、居住スペースを清潔に保つためです。足を守ることと、衛生を保つことは、地続きの話なんです。

だから、今夜やってほしいこと

  • 枕元にスリッパ(できれば底が厚いもの)と、懐中電灯
  • 玄関、または各部屋の出入口に、履き慣れたスニーカー
  • 車中泊をする方は、車内にも一足
  • お子さんの分、高齢のご家族の分も——人数分

スリッパでも構いません。「何も履かずに歩き出さない」ことが目的だからです。底の厚いもの、かかとのあるものが理想ですが、いま手元にあるもので十分です。

避難用に持ち出す靴は、すでに履いて足になじんでいるものを選んでください。新品の靴は靴ずれを作ります。避難生活で足に靴ずれができると、それだけで動けなくなります。

今夜、家族全員分のはきものを、寝る場所のすぐ横に置く。 費用ゼロ、所要時間3分。これが、いま一番費用対効果の高い備えです。

初動2|火の始末は「無理をしない」。そして通電火災

ここは、私自身が原文を確認して書き方を変えたところです。

「地震だ、すぐ火を消せ」と教わった方は多いと思います。しかし現在の気象庁の地震防災の心得には、こう書かれています。

無理に火を消そうとしない

揺れている最中にコンロへ近づくこと自体が危険だからです。最近のガス機器やガスメーターには、揺れを感知して自動的に止まる仕組みがあります。まず身を守り、揺れがおさまってから火の始末を確認する。この順番でいきましょう。

そしてもう一つ、あまり知られていないのが通電火災です。内閣府はこれを「停電復旧(通電)に伴い、電気火災が発生」するものと説明しています。倒れた電気ストーブや、傷ついた配線に電気が戻った瞬間に燃える、というものです。

内閣府の資料では、復電のときの注意としてこう書かれています。

事前にガス漏れ等がないことの確認 焦げたような臭いを感じた場合には、直ちにブレーカーを遮断

停電から電気が戻るとき、そして避難で家を離れるとき。ガスの元栓と、電気のブレーカーを意識してください。数秒でできることです。

補足(正確性のために):「阪神・淡路大震災の火災の約6割が電気が原因」という数字がよく引用されますが、これは原因が判明した火災だけを分母にした割合です。全285件で見ると電気火災は85件で、約3割にあたります。数字の扱いには注意が必要ですが、通電火災という現象そのものは内閣府が公式に注意喚起している、という点は変わりません。


【火が出たときだけ】初期消火の限界は「天井」。そして——ドアを閉めて逃げる

ここは、知っているかどうかで結果が変わるところです。救命士として、絶対に伝えておきたい。

⚠️ 前提の確認:ここから先は「火災が発生した場合」の話です。火が出ていない地震のあとは、前章のとおり扉を開けて逃げ道を確保してください。「閉める」のは、火が出て、いままさにそこから逃げ出す瞬間だけです。

地震のあとの火災について、消防庁の地震防災マニュアルはこう書いています。

強い揺れではまず身の安全を確保してから火を消しましょう 大きな揺れの時は、一度机の下などに身を伏せ、揺れが収まるのを待ってから火を消しましょう 火災になった場合は、周りの人に大きな声で助けを求めるとともに、手近にある消火器などで初期消火をしましょう もし初期消火ができず天井まで火が広がってしまったら、自分や他の住人の安全を確保するとともに、消防隊や消防団へ助けを求めてください

順番に見ていきます。

判断の基準は「天井」——ここを超えたら、消さずに逃げる

「どこまでなら消していいのか」。これは、公的にはっきりした目安があります。

消防庁の防災eカレッジには、こうあります。

一般に初期消火が可能なのは、天井に火がまわるまでと言われています。天井に火が燃え移ったら速やかに逃げて下さい。

東京消防庁も同じです。

一般的に、初期消火の限界は「火が天井に届くまでの間」といわれています

炎が天井に届いたら、そこで消火はやめてください。 消火器を置いて、逃げる。これは「あきらめ」ではなく、公的に定められた判断基準です。

そしてもう一つ、東京消防庁の重要な一文。

火災の状況がどのくらいまでだったら安全という基準はありません。初期消火中に、怪我をしてしまう人が多いので、炎や煙の勢いが強く、危険を感じたら無理せず避難を開始します

天井に届く前でも、怖いと思ったら逃げていい。 これが正解です。

ひとりで戦わない——まず「火事だ!」と叫ぶ

初期消火の前に、やることがあります。東京消防庁の記載です。

まずは、大声で周りの人に知らせ、助けに来てくれた人達と協力して通報や消火をします 消火は危険と隣り合わせだということです。消火の限界を超えた場合や危険を感じた場合は、速やかに避難し、消火は消防隊に任せましょう

**「火事だ!」と叫ぶ。**これが最初です。人が集まれば、119番する人と消火する人を分けられます。ひとりで全部やろうとすると、通報が遅れ、逃げ遅れます。

消火器を使うときのコツも、東京消防庁が明記しています。

消火不能になった場合を考えて、逃げ口を背面にして消火します

出口を背中にして構える。 火と出口の間に自分が入らない。これは現場でも徹底されている原則です。

消火器の使い方は三動作です。

  1. 安全ピンを抜く(黄色のピン)
  2. ホース(ノズル)を外して火元に向ける——ホースは先端を持つ
  3. レバーを強く握る

放射は「火の根元をねらって、手前からほうきで掃くように」。距離は「概ね7、8メートル」まで近づいてから。風上から。

なお天ぷら油の火災には、絶対に水をかけないでください(消防庁も「水をかけるのは絶対にやめましょう」と明記)。

逃げるときは、必ず「ドアを閉めて」

ここが、いちばん伝えたいことです。そして、いちばん知られていません。

消防庁の防災eカレッジには、こう書かれています。

避難するときは、空気を遮断して炎の勢いを押さえるため、特にマンションなどでは出入り口のドアを閉めましょう

(これは「火災から避難するとき」の記載です。地震直後の逃げ道確保とは場面が違います)

東京消防庁も、同じことを書いています。

閉められる戸を閉めてから避難する。 防火戸でない扉でも、一時的に炎や煙の拡散を防止する効果があります

火は、空気(酸素)がなければ燃え広がれません。

慌てて逃げると、ドアは開けっぱなしになります。すると新しい空気がどんどん流れ込み、火は一気に育つ。逆に、ドアを閉めるだけで、燃え広がる速度が落ちます。

これが何を意味するか。

あなたが閉めたドア一枚が、まだ逃げていない家族の時間を稼ぎます。 上の階の人が階段を降りる時間を稼ぎます。隣の家に燃え移るまでの時間を稼ぎます。そして、消防隊が到着するまでの時間を稼ぎます。

普通のドアで構いません。防火扉である必要はない——東京消防庁が「防火戸でない扉でも」効果があると明記しています。

逃げる。振り返る。ドアを閉める。

この3秒を、覚えて帰ってください。ただし、繰り返します——これは火が出たときの話です。 火が出ていない地震のあとは、扉は開けたままにして逃げ道を確保しておいてください。

正確性のためのお断り:私(hiro)は現場の感覚として「扉や窓を閉めて逃げる」とお伝えしていますが、今回あらためて公的資料を確認したところ、消防庁・東京消防庁が明記しているのは「出入り口のドア」「閉められる戸」であり、窓についての記載は見つけられませんでした。ですので本記事では「ドア(戸)を閉める」として書いています。考え方(空気を絶つ)は同じですが、まず確実にドアを閉めてください。窓の開閉に手間取って逃げ遅れるくらいなら、ドアだけ閉めて逃げるほうが確実です。

煙から身を守る

火災で亡くなる原因の多くは、炎ではなく煙です。消防庁の記載です。

火災でこわいのは煙による窒息死などです。煙は一酸化炭素などの有害ガスを含んでいます 煙の中を逃げるときは、できるだけ姿勢を低くしますぬれタオルやハンカチで口をふさいで、煙を吸い込まないようにします

そして、エレベーターは絶対に使わないでください。停電や停止で閉じ込められます。

地震のあとの火災は「時間差」で来る

消防庁は、地震火災についてこう説明しています。

地震火災とは、地震の揺れによる建物や設備の損傷が原因で発生する火災の総称です。電気に起因する火災が特に多く発生しています。地震直後だけでなく、停電後の復電時など時間が経ってから起こることもあります

さらに、令和2年版消防白書のコラムには、避難中の危険が具体的に書かれています。

「通電火災」が発生した場合、住民が避難所等へ避難しており、出火時の初期消火が行えないといったおそれがある

誰もいない家で火が出る、ということです。だから消防白書は、地震直後の行動としてこう挙げています。

・停電中は電化製品のスイッチを切るとともに、電源プラグをコンセントから抜く石油ストーブやファンヒーターからの油漏れの有無を確認する ・避難するときはブレーカーを落とす

いま停電しているご家庭は、電気が戻る前に、家電のスイッチを切ってプラグを抜いてください。 復旧の瞬間がいちばん危ない。

初動3|安否確認は、171とweb171がもう動いています

災害用伝言ダイヤル171 と web171 は、本日16時31分から運用が開始されています(NTT東日本・西日本の本日付発表)。いま、使えます。

大きな地震のあと、電話は必ず混みます。安否を確かめたい人が一斉にかけるので、いちばんつながってほしい相手ほどつながらない。だから、この順番で。

1. 災害用伝言ダイヤル「171」(声のメッセージ)

  • 171にかける → ガイダンスに従う
  • 録音は「1」、再生は「2」
  • 続けて、相手の電話番号を市外局番から入力
  • 録音できるのは1件30秒/1つの電話番号あたり10伝言まで
  • 全国どこからでも録音・再生できます。NTT東日本・西日本の電話からは通話料無料

2. web171(文字の伝言・web171.jp

  • 1つの電話番号あたり20伝言1伝言100文字以内、保存期間は最大6ヶ月

3. SMS(ショートメール)・メッセージアプリ・SNS——音声通話より通信量が小さく、つながりやすい

171は、電話番号をキーにして伝言を預ける仕組みです。だから家族で決めておくのは、たった一つ。

「うちは、お父さんの携帯番号で171を使う」

これだけです。今夜、家族のグループに一行送っておいてください。

そして——安否が確認できたら、電話を切る。回線は、いま助けを呼んでいる誰かのものでもあります。

暗がりの中でスマートフォンを両手で持ち、家族に連絡しようとしている手元 停電のなかでは、手元の光だけが頼りになる。だからこそ電池の使い方を最初に決めておく

初動4|情報は「公的なもの」を取りに行く

災害時のSNSには、悪意がなくても不正確な情報が大量に流れます。過去の災害の画像が「今の被害」として拡散されることも珍しくありません。

見るべきは、気象庁地震・津波の情報)、自治体の公式発表(避難所・給水・道路)、NHKなどの放送です。

スマホの電池は生命線です。画面の明るさを落とし、省電力モードにして、情報収集はラジオも併用してください。

そして津波。津波注意報が出ている地域では、解除されるまで海岸・河口に近づかないでください。 気象庁の津波注意報には、こう書かれています。

海の中にいる人はただちに海から上がって、海岸から離れてください

第一波より第二波以降が大きいことも、繰り返し押し寄せることもあります。

初動5|119番——「試しの通報」だけはしないでください

ここは、救急側の人間として正直にお伝えします。

消防庁の第3報の時点で、宇城広域・熊本市・上益城の消防では**119番通報が「多数」**入っていると報告されています。指令台は飽和します。加えて、道路の寸断で救急車がすぐには到着できない、という状況も起こります。

そのうえで、消防庁が公式に「やめてください」と呼びかけているのは、次の一点です。

119番がつながるかどうか確認するための119番通報はお控えいただきますようお願いいたします

つながるか試すための通報は、しないでください。

では、本当に急ぐ人がつながらなかったら? 消防庁は代わりの手段を示しています。

携帯電話等から119番につながらないときは、公衆電話を利用する、近隣の方やお店に通報を依頼する、消防署所に直接駆け込む

覚えておいてください。「つながらない=あきらめる」ではありません。 走って消防署に駆け込む、近所の人に頼む。これは公式に示されている方法です。

そのうえで、これは私の現場での経験からの考えとして書きますが——迷わず119番してほしいのは、次のような状態です。

  • 呼びかけに反応がない/呼吸がおかしい
  • 押さえても止まらない出血
  • 下敷きになっている人がいる
  • 意識がもうろうとしている、けいれんしている
  • 胸の強い痛み、突然のろれつが回らない・片側の麻痺

なお、消防庁の緊急度判定プロトコルでは、成人の外傷について「重量物の下敷きになった」「救出に概ね20分以上を要する」場合は救急車を要する区分とされています。下敷きは、それだけで緊急です。

そして、下敷きの人をひとりで無理に引き出さないでください。理由は次章で書きます。


② 応急手当と怪我人対応(30分〜72時間)

救急車がすぐには来ない前提で、家族の手でできることを書きます。

出血——「強く、直接、押さえ続ける」

災害時の外傷でいちばん多いのが、割れたガラスや倒れた家具による切り傷です。

日本赤十字社は、直接圧迫止血法についてこう書いています。

多くの出血は、この方法で止血できます

手順は驚くほど単純です(東京消防庁の応急手当テキストより)。

清潔なガーゼ、ハンカチ、タオルなどを重ねて出血部分に当て、その上を圧迫します はじめに当てたガーゼやタオルなどは外さないでください

つまり——

  1. 清潔な布・タオル・ガーゼを傷口に当てる
  2. 手のひらで、強く、まっすぐ押さえる
  3. 押さえ続ける。血がにじんできたら、上から布を足す。取り替えると、固まりかけたものが剥がれます

そして感染防止。東京消防庁は「ビニール手袋やビニール袋を使用」するよう書いています。他人の血液に触れるときは、レジ袋を手にかぶせてから押さえてください。

なお、日本赤十字社は**止血帯(きつく縛る方法)**については「直接圧迫止血法でも効果がない場合」に限るとしたうえで、「神経などを痛める危険性」があり「十分習熟しておくことが必要」と明記しています。まずは直接圧迫、と覚えてください。

手の甲から手首まで白い包帯を巻いた、応急手当のあとの手 包帯は「きれいに巻くもの」ではなく「押さえ続けるためのもの」。まず手のひらで強く押さえる

骨折の疑い——「戻さない・動かさない」

日本赤十字社の記載が、とても明確です。

骨折部が屈曲している場合、元に戻そうとすると、鋭利な骨折端が神経、血管などをきずつける恐れがあるので、そのままの状態で固定します 開放骨折では皮膚の外に出ている骨を元に戻そうとしてはいけません

変形していても、まっすぐにしようとしないでください。 これが最大のポイントです。

固定に使うものは、家にあるもので十分です。東京消防庁は副子(そえぎ)の代用として「雑誌や段ボール、板等」を挙げています。長さの目安は「骨折部の上下の関節が固定できる長さ」。

そして大事な注意点。

指先は血液の循環を確認するために、覆わないで少し出しておく

きつく縛りすぎて、指先が白や紫になったら緩めてください。

頭を打った——「今は元気」がいちばん怖い

災害のときに見落とされやすいのが、頭部外傷です。本人は動転していて「大丈夫」と言い、周りも他のことで手一杯になります。

消防庁の緊急度判定プロトコル(119番通報用)では、小児(16歳未満)の頭・頸部外傷について、次の症状があれば速やかな受診が必要とされています。

  • 意識を失った
  • 手足が動かしにくい、しびれる
  • 数回にわたって吐く
  • 頭痛がある
  • 止まらない鼻血、耳からの出血
  • 鼻や耳から、サラサラした液体が出る(髄液の可能性)
  • 首をかしげたような姿勢になっている
  • めまいがする
  • ものが二重に見える

**このリストは公的資料で確認できたのが小児向けのものです。**ただ、大人でも同じ症状が出れば受診の目安になる、というのが現場の実感です。迷ったら、受診してください。

高齢の方、**血をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)**を飲んでいる方は、より慎重に。おくすり手帳を必ず持って行ってください。

そして、打ったあとしばらくは、ひとりにしない。夜も、様子を見られる場所で休ませてください。

クラッシュ症候群——「助け出した直後」が危ない

これは、一般にはあまり知られていないのに、災害でしか起きにくく、しかも命に関わるものです。

日本救急医学会は「圧挫症候群(クラッシュ症候群)」をこう説明しています。

長時間の四肢の圧挫…虚血/再灌流による筋細胞融解(横紋筋融解)…細胞内から血管内へカリウム,リン酸,ミオグロビン,CPKなどが流出して高K血症,急性腎不全

かみくだくと、こうです。体の一部が長時間はさまれていると筋肉が壊れる。救出して圧迫が解けた瞬間、壊れた筋肉から出た物質が一気に全身へ流れ込み、心臓や腎臓に致命的な影響を与える。

阪神・淡路大震災では、挫滅症候群が372例確認され、そのうち50例(13%)の方が亡くなっています(厚生省研究班調査、内閣府資料より)。

いちばん怖いのは、はさまれている間、本人が普通に話せていることがある点です。「大丈夫だよ」と会話していた人が、助け出した直後に急変する。だから災害医療では「救出する前から治療を始める」という考え方をします。

家族としてやるべきことは、これだけです。

  • 長時間はさまれている人を見つけたら、すぐに119番し、「◯時間ほど下敷きになっている」と伝える
  • 不用意に引き出さない——東京消防庁は「不用意に引きずり出したり、負傷者の意思を無視して急激に動かさないように」と明記しています
  • 助け出したあとは、元気そうに見えても必ず医療機関へ

東京消防庁は、救出後に注意すべきサインとして「暗赤色の尿が出たり、腫れたり、感覚がなくなることがあったら、速やかに医師の診察を」と書いています。尿の色を見てください。 これは覚えて帰ってほしいポイントです。

よく言われる「2時間以上はさまれると発症する」という数字について:今回、公的機関・学会の資料をあたりましたが、この「2時間」の根拠は確認できませんでした。消防庁の検討会資料には「通常、損傷領域の再灌流が4〜6時間遅れると有害物質の放出が起こる。しかし…短時間でも起こりうるため、圧迫時間のみで判断しないように注意する」とあります。時間で安心してはいけない、というのが結論です。

なお東京消防庁は、阪神・淡路大震災での救出者の生存率を、**当日80.5%/1日後28.5%/3日後5.9%**と示しています。最初の1日が、決定的に重いということです。

持病がある家族——薬は「切らす前」に動く

災害関連死のなかには、けがではなくいつもの治療が続けられなくなったことが引き金になった方がいます。

まず今すぐ:おくすり手帳のページを、スマホで撮影してください。 処方内容がわかることが、災害時には強力な武器になります。

人工透析を受けている方へ。 日本透析医会の災害対策パンフレットに、心強い一文があります。

紹介状がなくても、災害時であれば、どこの透析施設であっても状況が許す限り受け入れてくれるはずです

そして、そのときに最も重要な情報がこれです。

この中でも重要なのが**ドライウェイト(基礎体重)**です。1回だけの臨時透析であれば、ドライウェイトさえわかっていれば透析は可能です

自分のドライウェイトの数値を、いま確認してメモしてください。 なお同資料には「熊本地震でも約30施設で透析ができなくなっています」との記載があります。施設が動かない可能性は、現実にあります。施設情報は日本透析医会 災害時情報ネットワークで確認できます。

ぜんそくのお子さんがいる方へ。 日本小児アレルギー学会の災害パンフレットは「発作の予防薬を毎日続けましょう」としています。避難生活ではほこりで発作が起きやすくなります。また、吸入補助具がないときの工夫として「スペーサーが手に入らないときには、紙コップの底に穴を開けるとスペーサーの代わりになります」という記載があります。

受診の目安は「苦しくて何度も目を覚ます、座り込んで苦しそうにしているなどの症状があるとき」。

インスリンを使っている方へ。 日本くすりと糖尿病学会は、災害時の注意として「使用するインスリン製剤の種類と注射の単位を間違えないこと」、保管については未使用のものは2〜8℃で「凍結を避ける」(凍結は禁忌)としています。用量の調整は自己判断せず、必ず医療者に相談してください。

避難所の救護所、開いている薬局、保健所——相談できる窓口は、思っているより多くあります。


③ 災害関連死を防ぐ(72時間以降)

ここからが、本当に長い戦いです。そして、知識でいちばん差がつくところでもあります。

能登半島地震の災害関連死364名について、令和7年版防災白書はその死因をこう分析しています。循環器系53名(34%)、呼吸器系52名(33%)で約6割。そして80代以上が約8割

つまり、心臓・血管と、肺。この2つを守ることが、避難生活のいちばんの課題です。

車中泊とエコノミークラス症候群

車の中で寝る。ペットがいる、避難所が満員、家が心配、プライバシーが気になる——理由はいくらでもあります。責める気は一切ありません。

ただ、リスクははっきりしています。厚生労働省の資料には、こうあります。

車中で寝泊まりするなど、長時間足を動かさずに同じ姿勢でいると…肺の血管を閉塞(肺塞栓症)

熊本地震のとき、実際に何が起きたか。内閣府の検討会に提出された熊本県の資料には、こう記録されています。

発災直後には、エコノミークラス症候群の患者が集中的に発生し、中には重篤な患者も発生した

そして内閣府の災害関連死の事例集には、「43歳女性が、エコノミー症候群の疑いで死亡」という認定例が載っています。高齢者だけの話ではありません。

**防ぐ方法は、地味ですが具体的です。**厚生労働省の推奨はこうです。

  • 1時間に1度は、かかとの上下運動を20〜30回程度
  • 3〜5分程度歩く
  • 適度な水分をとる——トイレを我慢したくて水を控える、これが最大の落とし穴です
  • 時々深呼吸をする
  • アルコールを控える
  • ベルトをきつく締めない
  • 眠るときは足を上げる

弾性ストッキングについて、日本循環器学会は「止むを得ず車中泊をされる場合…弾性ストッキングを適切な指導の下使用することで…予防効果は高まることが知られています」としています。**「適切な指導の下」**という条件がついている点は大事です。配布を受けたら、使い方を必ず聞いてください(熊本地震では実際に配布が行われました)。

急に息が苦しい、胸が痛い、片方のふくらはぎが腫れて痛い、赤くなっている——このときは、すぐに医療者に。迷わないでください。

雨粒のついた車の窓越しに、夜の明かりがにじんで見える車内の情景 車の中は、安心できる代わりに体を動かせない。動かないことそのものが、リスクになる

夏の脱水・熱中症——今回、いちばん警戒すべきこと

**熊本地方の明日の予想気温は、最低28℃・最高34℃**です(熊本地方気象台、本日17時発表)。停電でエアコンが動かない状況で、この暑さのなかの避難生活になります。

環境省・内閣府・消防庁・厚生労働省・気象庁の5府省庁連名の事務連絡に、まさにこの状況への記載があります。

さらに停電等が発生し、冷房器具が使用できない状況においては一層注意が必要です 停電が長引く可能性がある場合、特に高齢者、こども、障害者の方々は、冷房設備が稼働している避難所への避難も検討すること

「涼しい場所へ移動する」こと自体が、公的に推奨された熱中症対策です。がまんしないでください。

同じ資料(日本救急医学会監修)には、車中泊についても明確な記載があります。

車内は短時間で気温が上昇しやすいため、車内への避難は可能な限り避けて、冷房設備が稼働している場所へ移動することをおすすめします やむを得ず車内で過ごす場合は、たとえ短時間でも小さな子どものみを車内に残すことは大変危険であり、絶対にやめましょう

そして、いま家にいる方に、今夜できること。

**停電時は断水が起こる可能性があります。**浴槽やポリタンクに水を貯めておきましょう 水をペットボトルに入れて凍らせておくと、飲料にも冷却にも使えて便利です

**冷凍庫にペットボトルを入れる。浴槽に水を張る。**この2つは、今すぐできます。

そして、水だけでは足りません。 同じ5府省庁の事務連絡には、呼びかけるべき内容としてこう書かれています。

のどが渇いていなくてもこまめに水分・塩分をとること

汗で失われるのは水分だけではありません。塩分もいっしょに。経口補水液、スポーツドリンク、塩あめ、梅干し、みそ汁——手に入るもので構いません。避難所で配られる水だけを飲み続けると、かえって具合が悪くなることがあります。

ただし注意点も厚生労働省が付記しています。「経口補水液を一時に大量に飲むと、ナトリウムの過剰摂取になる可能性もあります」。腎臓や心臓の病気で水分制限を受けている方は、主治医の指示を優先してください。

特に注意が必要なのは、高齢者・こども・持病のある方です。5府省庁の事務連絡でも「特に高齢者、こども、障害者の方々」と名指しで注意が呼びかけられています。高齢の方は暑さも渇きも感じにくく、子どもは自分で不調を訴えられません。周りが声をかけて、水と塩分を届けてください。

体を冷やす場所は「首の周り、脇の下、足の付け根」(厚生労働省)。「濡れたタオル等を肌に当て、うちわであおぐと熱が放散されます」。

冷却に使えるものも挙げておきます。保冷剤、凍らせたペットボトル、冷却シート、濡れタオル、うちわ、扇子、乾電池式の扇風機。停電で冷蔵庫が止まる前に、いま冷凍庫にあるものは保冷剤として使えます。溶けたペットボトルはそのまま飲めます。

そして、救急車を呼ぶ基準。厚生労働省の記載は、とてもシンプルです。

自力で水が飲めない、意識がない場合は、すぐに救急車を呼びましょう

「自分で水が飲めるか」。これを判断の軸にしてください。

感染症と衛生——断水しているときこそ

避難所では、胃腸炎とかぜ(呼吸器の感染症)が広がりやすくなります。人が密で、水が少なく、体が弱っているからです。厚生労働省の避難所向けリーフレットから、実用的なものを挙げます。

  • 土足厳禁を徹底する(居住スペースに靴で入らない)
  • 手洗い場とトイレは、なるべく近くに
  • やむを得ずバケツなどにくみ置きした水を使う場合は、直接バケツの中の水で手を洗わない(ひしゃくなどで汲んで流す)
  • 流水が使えないときはアルコールを含んだ手指消毒薬を。指先から消毒するのがポイント
  • 袋入りの食べ物は、手でちぎって食べたりせず、直接食べる
  • おにぎりを握るときは、使い捨て手袋かラップを使う
  • 咳エチケット:ティッシュ等がない場合は、二の腕で口と鼻をおおう

手指消毒用のアルコールは、水が使えない環境での最優先の物資です。

もうひとつ、私から付け加えたいこと。口の中を清潔に保ってください。 歯みがきができないなら、水でうがいするだけでもいい。能登半島地震の災害関連死の3分の1が呼吸器系だったことを、思い出してください。

こころのケア——「大丈夫だよ」と言わないほうがいい理由

ここは、善意の情報がかえって害になりうる領域です。日本児童青年精神医学会の手引きから、重要な点を挙げます。

まず、いま起きている反応は異常ではありません

災害直後の大部分の情緒的な反応は異常なものではなく…安易に病気として取り扱いすぎないように

眠れない、動悸がする、また揺れている気がする、涙が出る、逆に何も感じない。これは、異常な出来事に対する正常な反応です。

そして、やってはいけないこととして、はっきり書かれていることが2つあります。

1. 無理に体験を話させない

無理に話を聞き出さないことも大切です

さらに同手引きは、被災直後に体験を語らせる「心理的デブリーフィング」について、こう明記しています。

現在ではPTSDへの予防効果は否定されており、かえって悪化する場合も報告されているため、実施は推奨されません

「吐き出させたほうが楽になる」は、現在の推奨とは逆です。話したくなったときに聞く。それでいい。

2. 安易に「大丈夫」と保証しない

安全でないのに…「安全だよ」と言ったり、全くわからない状況で「大丈夫だよ」と安易に保証することは原則として避けましょう

代わりに使える言葉として、保護者向けの資料にはこう挙げられています。

「みんなが守ってあげるからね」 「心配なことがあったら何でも言ってね」 「あなたはちっとも悪くないよ」

**子どもについて。**避難所では「子どもの遊んでいい場所を作りましょう」、そして「災害の報道を見たり聞いたりしすぎないように」。テレビやSNSの被災映像を流し続けないでください。

受診の目安は、「およそ4週間以上のあいだ精神医学的な症状が継続している」場合とされています。それまでは、あわてなくていい。ただし、つらければいつでも相談していい。窓口はストレス・災害時こころの情報支援センターにまとまっています。

そして、これは支援する側にも言えることです。助ける立場の人ほど、自分の限界に気づけません。 交代して、食べて、寝てください。

高齢者・要配慮者の見守り——これがいちばん効きます

内閣府の災害関連死の事例集には、実際にこう認定された例が載っています。

避難中の車内で74歳女性が、疲労による心疾患で死亡 83歳女性が慣れない避難所生活から肺炎状態となり…死亡

避難所や近所で、動かない人・出てこない人がいたら、声をかけてください。

高齢の方は、迷惑をかけたくないという理由で、水を飲まず、トイレに行かず、痛くても言いません。そのまま脱水になり、動かなくなり、肺炎になります。私が現場で会う「災害関連死になりかけた人」は、たいてい誰にも何も言っていなかった人です。

かける言葉は、「大丈夫ですか」より、この3つのほうがはるかに効きます。

「水、飲みました?」 「トイレ、行けてますか?」 「今日、少し歩きました?」

イエスかノーで答えられるからです。「大丈夫ですか」と聞くと、日本の高齢の方はほぼ全員「大丈夫」と答えます。

大人の両手が、子どもの小さな手をそっと包み込んでいる 災害関連死を防ぐのは、特別な医療ではない。声をかけ、水を渡し、そばにいる人がいるかどうかだ


いま、この30分でできること

  • 玄関のドア・ベランダのサッシを開けて、逃げ道を確保(歪んで開かなくなる前に。閉まらないよう固定)
  • 家族全員分のスリッパ・靴を、寝る場所のすぐ横に置く(今夜いちばん優先)
  • 家の中の割れたガラス・落ちた物を片づける(必ずはきものを履いてから
  • 消火器の場所を家族で確認。火が天井に届いたら消火はあきらめて逃げる、火事のときだけは逃げしなに扉を閉めるを共有
  • ガスの元栓を確認、焦げたにおいがしたらブレーカーを遮断
  • 家族の安否確認——171(録音は1・再生は2/市外局番から)/web171/SMS
  • スマホを充電、省電力モードに。モバイルバッテリーを確保
  • 浴槽に水を張るペットボトルの水を冷凍庫へ(停電・断水と暑さに備える)
  • 水分だけでなく塩分(経口補水液・塩あめ・梅干し)と冷却グッズを確保
  • おくすり手帳をスマホで撮影。透析中の方はドライウェイトをメモ
  • 枕元に靴・懐中電灯・スマホを置く(余震に備える)
  • 今夜は倒れそうな家具の前で寝ない
  • 近所の高齢者・ひとり暮らしの方に一声かける

「もしものとき」の備えを

いま被災地にいる方は、**この項目は読み飛ばしてください。**まず身の安全と、休息を優先してください。

そのうえで、落ち着いてからのお話として。災害でのけがや、そのあとの入院・避難生活の長期化は、予測できない出費と、収入の途絶を同時に連れてきます。地震による建物の損害は火災保険だけではカバーされない部分があり、けがや入院への備えは、また別の話になります。

災害は、日本のどこに住んでいても他人事ではありません。ご家庭の医療保険・傷害保険・地震保険が今の暮らしに合っているか、いちど確認しておくことも、家族を守る備えのひとつです。


参考文献・出典

今回の地震(2026年7月28日)

地震発生時の行動・火災

火災(初期消火・避難・地震火災)

安否確認・119番

応急手当(止血・骨折・クラッシュ症候群)

災害関連死

エコノミークラス症候群・車中泊

熱中症・避難所の衛生

こころのケア

持病がある方の災害対応


医療情報の正確性について:本記事の情報は執筆時点(2026年7月28日夜)の公的情報に基づきます。以下の点をお断りします。

①被害状況について:消防庁第3報の時点で人的被害・住家被害は「確認中」であり、本記事では被害の規模に関する数値を記載していません。最新の情報は気象庁・自治体の発表をご確認ください。

②クラッシュ症候群の「2時間」について:一般に流布する「2時間以上の圧迫で発症する」という記述は、公的機関・学会の資料で確認できませんでした。消防庁検討会資料の「4〜6時間」および「圧迫時間のみで判断しない」という記載に基づいて執筆しています。

③頭部外傷のサインについて:本文に挙げたリストは、消防庁の緊急度判定プロトコルのうち**小児(16歳未満)**を対象とした項目です。成人向けの同等の項目は、公開資料からは確認できませんでした。

④災害時の119番について:「災害時は軽症なら119番を控えるように」という趣旨の公的な呼びかけは確認できませんでした。本記事では、消防庁が明示している「つながるか確認するための試し通報を控える」という点のみを公的情報として記載し、それ以外の判断は筆者の現場経験に基づく私見として区別して記載しています。

⑤火の始末について:気象庁は「無理に火を消そうとしない」としており、本記事はこれに従っています。過去の一部の資料には「すばやく火の始末を」という記載も残っていますが、現行の気象庁の記載を採用しました。

⑥「ドロップ・カバー・ホールドオン」について:この表現は日本の公的機関のページでは確認できなかったため、気象庁・消防庁の記載に沿った日本語表現で記述しています。

⑦「スリッパを置く」のセクションについて:この項目は、筆者(救急救命士hiro)の現場経験に基づく提言であり、特定の公的機関がそのように推奨していることを示すものではありません。ガラス片による足の受傷リスク、および足を負傷することで避難行動が制限されるという点は、現場での経験に基づく判断です。なお「土足厳禁」は厚生労働省の避難所向けリーフレットの記載です。

⑧「ドアを閉めて逃げる」について:消防庁・東京消防庁が明記しているのは「出入り口のドア」「閉められる」であり、についての記載は確認できませんでした。本記事はドア(戸)に限定して記述しています。またこれは「火災から避難するとき」の記載であり、火が出ていない地震直後の行動ではありません。地震直後については、消防庁が「玄関などの扉を開けて非常脱出口を確保しましょう」としており、本記事はこの区別を明示しています。

⑨「扉を開けるタイミング」について:消防庁の記載は「揺れを感じたら、玄関などの扉を開けて非常脱出口を確保しましょう」ですが、気象庁は「あわてず、まず身の安全を確保」「あわてて外へとびださない」としています。本記事では、揺れの最中に無理に移動しないことを優先し、「身を守るのが先、扉はそのすぐあと」と記述しました。これは両者を安全側で解釈した筆者の判断です。

⑩火の始末と初期消火の関係について:気象庁は「無理に火を消そうとしない」、消防庁の地震防災マニュアルは「まず身の安全を確保してから」「揺れが収まるのを待ってから火を消しましょう」としており、本記事はこの両者に沿っています。消防庁の一部の古いページには「地震!すばやく火の始末を」という記載も残っていますが、本記事では採用していません。

医療判断は必ず医師にご相談ください。記事内容の誤りを発見された場合は、お問い合わせよりお知らせください。


免責事項:この記事の情報は一般的な救急・防災知識の情報提供を目的としており、医療行為・医療診断の代替となるものではありません。症状がある場合は必ず医療機関を受診してください。生命の危機を感じる症状は、すぐに119番に通報してください。

⚠️ 免責事項この記事の情報は一般的な救急知識の情報提供を目的としており、医療行為や医療診断に代わるものではありません。症状がある場合は必ず医療機関を受診してください。生命の危機を感じる症状は、迷わず119番に通報してください。

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救急のリアル 編集部

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